2025年12月01日 12時05分
メモ

ソーシャルメディアの発達で、幼い子どもでさえ世間の人気を集めてお金を稼ぐことが可能になりました。ところが、精神的に未熟な子どもがインフルエンサーとして活動することは懸念点も多いとして、各国が規制に乗り出しています。
REPORT on the protection of minors online | A10-0213/2025 | European Parliament
https://www.europarl.europa.eu/doceo/document/A-10-2025-0213_EN.html
Should kidfluencers be banned? That’s the plan in the EU | CBC News
https://www.cbc.ca/news/business/eu-kidfluencer-ban-9.6994957

オンライン上における未成年の保護に積極的に取り組んでいるのがEUです。2025年11月にはソーシャルメディアプラットフォームの利用を最低でも16歳からに統一する案を賛成多数で採択し、子どもへの規制強化を検討し始めました。
SNS利用の最低年齢を一律16歳とする提案を欧州議会が採択 – GIGAZINE

この規制の一環として要請されているのが、子どもインフルエンサーへの規制案です。EUは、ソーシャルメディアプラットフォームが子どものインフルエンサーに対して報酬を与えることを禁止し、親が子どもに活動を強要するようなことをなくそうとしています。
ところが、こうした厳格な規制を疑問視する声もあります。カナダのメディアであるCBCは、「カナダにも同様の規制が必要かどうか」という観点からさまざまな声を紹介しました。

オタワに拠点を置く非営利団体「メディア・スマーツ」の研究部長カラ・ブリソン=ボワヴァン氏は、「子どもが金稼ぎに利用されることを防げる」として規制措置を歓迎していますが、「子どもの創造性や自立性を抑圧することも良くない」として、完全な禁止措置には疑問を呈しています。
クイーンズ大学の法学者、サミュエル・ダハン氏は「規制は間違いなく歓迎すべきで、10年前から実施されるべきだった」と述べ、むしろ規制は遅すぎると指摘。ただし、子どものインフルエンサーの定義が曖昧で、例えば親がたまに子どもの姿を映す場合のように、判断が難しいものもあるため、禁止案は野心的すぎると述べました。
カナダには子どものフルエンサーに関する具体的な法律はなく、2024年に連邦政府が提出したオンライン有害情報法も子どものインフルエンサーを対象としていませんでした。

EUが子どものインフルエンサー禁止を検討し、アメリカではミネソタ州が14歳未満がインフルエンサーとして活動することを禁止している一方、子どものインフルエンサーを保護する他の選択肢も存在します。
2020年、フランスは労働法を改正し、16歳未満の子どものインフルエンサーに国内の子役やモデルと同等の保護を適用。労働時間の制限、収入の大半を18歳まで信託管理する措置、スポンサー付き投稿のために子どもを撮影する者は政府の許可が必要といった案を盛り込みました。これにより、子どもはある程度の規制を受けつつもインフルエンサーとして活動することが許可されました。
アメリカでは、イリノイ州、カリフォルニア州、ユタ州が、子どもが成人するまで親がその収入を確実に貯蓄するよう法律を制定しています。
ダハン氏は、「EUが充電コネクタの標準化を義務づけた結果、AppleがLightningを廃止してUSB Type-Cに一本化した」という経緯を持ち出し、「EUで法案が可決されれば他国にも変更が求められる場合があり、EUのデジタル規制は世界基準を形成する傾向があります。ソーシャルメディアプラットフォームも、世界中の子どものインフルエンサーに共通の規制を設ける選択をするかもしれません」と指摘しました。
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