公開日時 2025年12月01日 05:00

32軍壕が伝える沖縄戦 県、ガイドに現地講座首里城周辺
沖縄師範学校男子部などが利用していた「留魂壕」を案内する山本正昭学芸員=30日、那覇市首里

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琉球新報朝刊

 県平和・地域外交推進課主催のガイド経験者を対象とした「第32軍司令部壕フィールドワーク講座」が30日に始まった。座学の後に那覇市の首里城地下に造られた同司令部壕とその周辺の戦跡を巡る。第1回のこの日は約20人が参加し戦時中の壕内の様子などについて学んだ。
 座学講師は吉川由紀さん(沖縄国際大非常勤講師)、フィールドワーク講師は山本正昭さん(県立博物館・美術館主任学芸員)と仲村真さん(県平和祈念資料館友の会事務局長)が担当する。  首里城公園首里杜館で行われた座学では、県が3月に発行した「第32軍司令部壕ガイドテキスト」を用いて、沖縄戦の経過や第32軍司令部の展開、壕の構築過程や構造について学んだ。
 フィールドワークは山本さんが案内役を務め、電信第36連隊が使用していた「ハンタン山の無線通信所跡」や、戦死した兵士をまつる「忠魂碑」、沖縄師範学校男子部などが拠点とした「留魂壕」など、首里城周辺にある戦跡を巡った。
 地上から唯一、司令部壕内部へ入ることができる第5坑口について、山本さんは「撤退前に爆発したとされ、かつては土砂で埋まっていた」と説明。第5坑口は壕内で最も低く、水場に近い位置にあるため悪臭や湿気がひどく、生活環境は厳しかったという。参加者は山本さんの解説に耳を傾け、質問したりメモを取ったりしながら理解を深めた。
 講座は1月12日までで、5回行われる予定。
(金城乃愛)

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