
週刊地震情報 2025.11.30 熊本県阿蘇地方で2016年以来の震度5強の地震
2025/11/30 10:04 ウェザーニュース
この1週間に国内で観測された有感地震の回数は、前週に比べると多くなっています。熊本県阿蘇地方の地震活動が活発になり、有感地震は50回近くに達しました。国内の震度3以上の地震は4回発生しています。(11月24日〜11月30日10時の集計)
国内:熊本県阿蘇地方で9年ぶりに震度5強
25日(火)18時01分頃、熊本県阿蘇地方を震源とするマグニチュード5.8、深さが9kmと推定される地震が発生しました。
この地震で熊本県産山村で最大震度5強、阿蘇市と大分県竹田市で震度5弱、熊本県菊池市、南小国町、高森町、南阿蘇村、西原村で震度4を観測しています。
熊本県阿蘇地方で最大震度5強以上の地震が発生するのは2016年4月18日以来です。地震のメカニズムは北北西ー南南東方向に張力軸を持つ横ずれ型と解析されています。
数日にわたり地震活動が活発な状況が続き、最大震度4や震度3の地震を含む47回の有感地震が観測されました。
2016年の熊本地震の際も活発な活動
阿蘇地方では熊本地震が発生した2016年にも活動が活発になりました。2016年の熊本地震の本震と呼ばれる、熊本地方が震源のマグニチュード7.3の地震が発生した約7分後の4月16日1時32分頃に、阿蘇地方を震源とする最初の有感地震が起きています。
その後は地震活動が非常に活発になって3時03分頃にマグニチュード5.9、最大震度5強、3時55分頃にはマグニチュード5.8で最大震度6強の地震が発生しました。
2016年に発生した3回のマグニチュード5以上の地震と、今回の地震はほぼ同じ領域で起きています。深さも10km前後でメカニズムも横ずれ型と解析されており、同じタイプの活動です。
熊本地震の後、布田川断層が阿蘇山の外輪山の内側まで達していることが確認されています。今回の震源はそれよりもさらに北東側ですが、断層が存在していると考えるのが自然です。
国内:東シナ海震源で12年ぶりの有感地震
26日(水)20時55分頃、東シナ海を震源とするマグニチュード4.6、深さ235kmと推定される地震が発生しました。この地震で沖縄県座間味村で最大震度1を観測しています。
東シナ海を震源とする地震で震度1以上を観測するのは2013年12月に発生した地震以来です。この地震は今回とは違って浅い震源の地震で、長崎県五島市で震度1の揺れがありました。
東シナ海の地震はフィリピン海プレートがユーラシアプレートの沈み込むことによる深発地震が主です。有感地震は多くないものの、1932年にはマグニチュード6.5、深さ155kmの地震により那覇市や石垣市で震度3を観測した記録が残っています。
世界:インドネシアでM6.6の地震
アメリカ地質調査所の解析によるマグニチュード6以上の地震は2回発生しました。最も大きな地震は、インドネシアで発生したマグニチュード6.6です。
日本時間の27日(木)午後、インドネシア・スマトラ島の西に位置する小さな島、シムルエ島付近を震源とするマグニチュード6.6、深さ約25kmと推定される地震が発生しました。
地震のメカニズムは北東ー南西方向に圧力軸を持つ逆断層型と解析されてます。震央近くでは改正メルカリ震度階級でVI程度の揺れになったとみられます。大きな被害は報じられていません。
スマトラ島周辺はインド・オーストラリアプレートがユーラシアプレートに沈み込むことで、巨大地震がしばしば発生する領域です。今回の震源付近に限っても、マグニチュード6クラスの地震は数年に1度のペースで起きていています。
出典・参考
※日本国内の震源・震度の情報は特に記載が無ければ気象庁より。海外の震源情報は特に記載が無ければアメリカ地質調査所(USGS)より。発表機関により震源情報に差が生じることがあります。

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