2025年11月29日 午前7時30分
【論説】おおい町名田庄地区特産のジネンジョの今年の収穫が始まった。地元住民で立ち上げた名田庄自然薯(じねんじょ)生産組合が本格的に栽培を開始してから40年。地域を代表する特産品として県内外に定着した一方で、組合員の高齢化が進んでいる。危機感を持った地元の壮年世代が保存グループをつくり、栽培技術を受け継ぐ歩みを進めている。地域の宝を次代に残すチャレンジを見守りたい。
ジネンジョ生産は、旧名田庄村井上(いがみ)の壮年グループ「井上交友会」の試みから始まった。地域に特産物をつくろうと、県内外を視察した結果、朝夕の寒暖差が大きく、水はけの良い土質の名田庄はジネンジョの適地と分かった。旧南条町など生産先進地で行われていたパイプを用いた栽培方法を採用し1982年、栽培研究を開始。84年には定植した種芋600本が見事に成長し化粧箱入りの贈答用として注文を受け付けた。県の品評会でも好成績を収めた。
翌85年、井上区住民を中心に約60人で生産組合を立ち上げ本格的に栽培を始めた。強い粘りと糖度が特長で、自然交配を避けるために組合員が互いに畑を視察しチェックするほか毎年、新しい種芋を取り寄せるなど、徹底した品質管理を続けている。恒例の「じねんじょ祭り」では、毎回来場者が列をつくって買い求める姿が見られる。ほかの生産地と比べやや高めの価格とされるが、品質が管理された価値ある逸品として信頼を得ている証しだろう。
県内外に知れ渡った名田庄のジネンジョだが担い手維持への不安もある。組合員は現在28人に減り、平均年齢は70歳ほど。組合設立当初のメンバーは1人のみとなった。特産品を守る人材、技術維持が課題となる中、地元の会社員ら40~50代の壮年会有志が2022年末に「井上自然薯保存会NEO」を立ち上げた。
栽培経験のないメンバーもおり、生産組合の指導で栽培技術の基礎から学んでいる。初年の23年は100本、2年目は200本を収穫する上々の滑り出し。3年目の今年は種芋を植える時期が遅く、少なめの収穫を見込む。試行錯誤しながら今後の糧にしてほしい。
ジネンジョを使ったそばやうどん、クッキーなど加工品が地元の第三セクター名田庄商会から売り出され、ロングセラー商品も生まれた。生産組合、NEOは地元の子どもに種芋の植え付けや収穫を体験させている。地道な取り組みだが興味を持った子どもたちが将来の担い手となることを望む。

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