岩手県宮古市を代表する大型商業施設の解体が始まるなど、宮古駅周辺はにぎわいの維持に向けて岐路に立っています。近くにある商店街の店の数も減り続ける中、商店街は様々な仕掛けを続けています。

 宮古駅前の賑わいの核でした。

お客さん
「さみしいですね、なんだか。なかなか無いのでお店がね。」
「昔から、ちっちゃいころから来てたので、無くなるのはさみしいです。」

 2003年、地元商店主らが買い取って開業したキャトル宮古。スーパーや洋品店、食堂などが入り、建物は、前身の会社を含めると、40年以上駅前の場所でにぎわいを作り続けてきました。

 しかし…

キャトル宮古 茂内博彦社長(当時)
「残念ながら閉じるという風な選択をせざるを得なくなりました。本当に申し訳ないです。」

 東日本大震災後の急激な人口減少や、新型コロナの感染拡大の影響などで客が減り、2021年12月に閉店しました。

 それから4年。宮古市が進めていた土地の買収など再整備に向けた準備が整ったとして、今月から解体工事が始まりました。

 さらに、キャトル宮古の近くに書籍や文具などを販売する店も今年5月に閉店。母体となる会社が破産申請の準備に入るなど、宮古駅前は、街の中心部としてにぎわいを維持できるか今、岐路に立っています。

 宮古駅近くの末広町商店街に店舗を構える、創業90年の老舗電気店です。店の2代目、佐々木慶子さんです。昔の賑わいを懐かしそうに話します。

佐々木慶子さん
「昭和の30年とかそういう時代だな。この辺は賑やかな通りでしたね。七夕とかいろんなことをやると、ぶつかりながら歩くという感じなんですよ。まあホントにすごい、宮古はすごかったです。私も東京に行ったときに、宮古の方が人が多いと思いました」

 1960年(昭和35年)、宮古市の人口は8万人を超えました。駅前の末広町周辺にも100軒以上の店舗が並び、多くの人が行き交いました。

 いま、宮古市の人口はおよそ4万4千人。ほぼ半分まで減ってしまいました。末広町商店街の店舗も50軒を割りました

佐々木慶子さん
「いやー変わりましたね。まさかこんなに(店がなくなった場所に)駐車場がいっぱいになって、シャッターが下りてるところもあるし…跡継ぎの問題だったり、いろいろな問題があって、シャッター下ろしているわけですから、本当に寂しいっていう感じがしますね」

 活気が失われる商店街の中で佐々木さんが元気になるのは、子どもたちとふれあう時間です。

先生と保育園の児童たち
先生
「いまちょっとお買い物に…あした何作るんだっけ?」
園児
「カレー!」「バイバーイ」

佐々木慶子さん
「いやーいいねぇ、子どもたちがこうやってねぇ」

次の世代のためにも、街の灯りをこれ以上消してはならない…。

 「3・2・1…宮古の町に今年もイルミネーションが輝き始めました」

11月22日、宮古駅前に灯ったイルミネーション。これは、佐々木さんなど、商店街のおかみさんたちが、駅前に賑わいを生み出そうと続けているものです。

 今年も多くの人が訪れ、楽しいひと時を過ごしました。

訪れた人
「地元の方がみんなで声を出し合って、町を盛り上げて行くっていう動きがあるのは、すごく良いことだなと思います」

「みんなが楽しい気分になれるような町になっていって欲しいです」

佐々木慶子さん
「やっぱり人に来てもらう工夫を絶えずやっていかないと、商店街ってやっぱりだめなんだなと。だって明るくするのは人の力、人の手でやんなきゃなんないもんね。だまってたら日も暮れてしまうし…。元気を出して、日々を過ごしていきたいと思います」

 イルミネーションの他にも、商店街では端数をおまけする「ぽっきり市」を開催するなど、来てもらうために工夫を続けています。さらに…

 クルーズ船で訪れる外国人を琴の生演奏でおもてなし。抹茶を飲めるスペースも用意しました。

外国人観光客
「とてもおいしいです」
「最高の買い物が出来て、抹茶もすごく美味しかったです」
「(宮古市は)自然豊かで、とても良い町です」

佐々木慶子さん
「ずいぶん来ましたからね。嬉しいことですよね」

 市によりますと、外国人観光客は年々増え、去年は、記録が残る2010年以降で過去最高の6415人が宮古市を訪れました。

 商店街はにぎわいを生み出す新たなチャンスと様々な仕掛けを続けています。

 今年6月に市長に就任した中村尚道宮古市長は…

宮古市 中村尚道市長
「(キャトル宮古の解体は)逆を言えば今がスタートという事で、次の可能性が見せられるのではないかなと思って、いい意味で前向きに捉えています」「出会いと交流の結節点だと思っています、ここの駅前が。ここからまた新たな宮古市の文化を発信出来るような象徴的な場所にしたいなと思っております」

 宮古市は、タウンミーティングを開き、市民の声を開きながらキャトル宮古の跡地の活用方法を検討していくことにしています。人口減少や生活スタイルの変化など課題が多い中、何とかにぎわいを作り出そうと街の人たちは努力を続けています

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