三井住友フィナンシャルグループ(FG)は、過去数年で約7000億円を投じたインドで商業銀行として稼ぐ体制を整える方針だ。新設したインド本部の責任者、ラジーブ・カナン常務は、富裕層や資産運用分野などに注力するため、業務拡大とともに人材拡充を進める考えを明らかにした。
国内での成長余地が限られる中、3メガ銀行グループは高い経済成長が見込まれるインドの金融機関にこぞって投資している。中でも三井住友FGはスピード感を持って現地進出を図っており、今後はどのように安定的な収益を上げるかが課題となる。
三井住友FGはインドの金融機関への出資を通じ、個人向けから大企業向け融資まで幅広い金融サービスを提供している。カナン氏はブルームバーグのインタビューで、「個人向け金融の分野だけでなく、富裕層、資産運用でも大きなチャンスがあるとみている」と述べた。

ラジーブ・カナン氏
Source: Sumitomo Mitsui Financial Group Inc.
同社は昨年、個人や中小企業向けノンバンクのフラトン・インディア・クレジット(現SMFGインディア・クレジット)を完全子会社化。今年は資産規模で約7兆6000億円と同国有数のイエス銀行に約2900億円投じて24.9%を出資し、持ち分法適用会社とするなど着々と現地のビジネスに食い込んでいる。
カナン氏は、インドのプラットフォーム全体の成長を支えるため「広範な分野での人材拡充を行うべきだ」と強調した。
業務拡大については、主にインドが政府を挙げて注力する経済特区で、傘下の三井住友銀行が昨年夏に支店を置いた国際金融テックシティー(GIFTシティー)で検討する考えを示した。現在、業務の中心である円や米ドル建てのインド向け融資に加え、機関投資家に金融商品などを提案する「セールス&トレーディング」のほか、資金繰りなど企業の財務管理を目的とした「トレジャリー」業務も検討対象に入るという。
カナン氏は大企業向けでは、インフラやデジタルインフラ投資の活発化がビジネス拡大の好機だと話した。企業のM&A(合併・買収)に伴う買収ファイナンスなどにも注目している。「拡大するパイの中で、より多くの取引や買収資金の需要に応える必要がある」と語った。
インドでは日本だけでなく、世界の金融機関が成長を取り込もうと競争が激化している。ブルームバーグのデータによると、インド向けの外貨建て融資額で、昨年4位だった三井住友FGは現在7位に後退した。
初の外国人部長
カナン氏はインド生まれ。インドの大学で経営学修士(MBA)を取得した後、現地の銀行に入った。1997年に三井住友銀に入行し、シンガポール勤務などを経て、12年から16年まで東京の本店でプロジェクトファイナンス営業部などの部長を務めた。本店の部長への外国人就任は初めてだった。
三井住友FGはインド事業に注力するため、今年4月にインド本部を設け、カナン氏が本部長に就いていた。三井住友FGと三井住友銀のインド事業全体を統括している。

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