欧州中央銀行(ECB)はオランダの年金制度改革について、長期債と金利スワップの売りが生じる可能性があると警告した。

  ECBは26日公表した金融安定報告で、オランダの年金基金が確定給付型から確定拠出型への移行を進めることで、長期債への需要が低下すると分析した。

  オランダ当局は、高齢化が進む中、より実情に合った制度とすることが移行の狙いだとしている。

  この制度変更は事前に十分周知され、数年をかけて実施が進んでいるものの、オランダの年金制度は欧州市場の金利分野で大きな存在感を持つ。

  ECBによると、同国の年金基金はユーロ圏の年金基金による国債保有の約65%を占めている。

  ECBは報告書で「オランダの年金制度改革は今後、国債需要のダイナミクスにも影響を及ぼす可能性がある」と記した。

  新制度の下では、年金基金が長期の金利ヘッジを必要とする度合いも低下するとみられ、ユーロ建て金利スワップカーブをスティープ化させる要因とされる。

  10年物と30年物のスワップ金利の差は約32ベーシスポイント(bp)と、2021年以降で最も大きくなっている。

原題:ECB Warns Dutch Pension Reform Risks Spurring Bonds Selloff(抜粋)

— 取材協力 Steven Arons

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