大阪府門真市幸福町で進む再開発の背景とは

大阪府の北東部に位置する門真市は、大阪市のベッドタウンとして、また日本を代表する電機メーカー、パナソニックの企業城下町として発展してきた街である。

現在、この門真市内にある京阪本線「古川橋駅」の北側エリアでは、未来に向けた新しいまちづくり「門真市幸福東土地区画整理事業」が進行している。その中心地である門真市幸福町は、官民一体で進められている本事業により、大きな変貌を遂げようとしているのだ。

幸福町という縁起のよい町名は1965年に誕生した。近年の土地区画整理事業に伴う発掘調査では、市内で唯一となる古墳「普賢寺古墳」が発見され、そこから出土した「盾持人埴輪(たてもちびとはにわ)」は2024年に市の指定文化財第1号に指定されるなど、幸福町は歴史的に重要なエリアである側面も持ち合わせている。

地域に目を向けると、幸福町の中心には「ちょっと幸せ感じる街」をテーマに掲げる「古川橋本通商店街」が存在する。昭和の風情が残るこの商店街は、地域住民の生活を支え、コミュニケーションの場として機能してきた。

区間急行と普通電車が停車する京阪本線古川橋駅区間急行と普通電車が停車する京阪本線古川橋駅区間急行と普通電車が停車する京阪本線古川橋駅どこか懐かしい雰囲気がある古川橋本通商店街

また、門真市全体では近年、再開発が活発化し、暮らしの利便性が向上している。2018年に完了した「門真市中町土地区画整理事業」では、エコに配慮した中学校校舎や総合体育館、防災公園が新設された。さらに、2023年には大型商業施設「ららぽーと門真」と人気の会員制倉庫型店舗「コストコ門真倉庫店」が相次いで開業し、市内外から多くの買い物客を集めるなど、エリア全体の魅力が高まっている。

交通アクセスの良さも幸福町の大きな魅力である。最寄りの古川橋駅から、大阪のビジネス中心地である淀屋橋駅や中之島駅へは乗り換えなしでアクセスできる。また、梅田や難波といった都心部へも電車で約30分でアクセスできるため、通勤・通学、休日のレジャーにも便利な立地といえるだろう。

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区間急行と普通電車が停車する京阪本線古川橋駅古川橋駅南側にあるイオン系列のショッピングセンターも駅前の風景が変わる。官民一体で進める門真市の新たなまちづくり

門真市幸福東土地区画整理事業は、門真市の新たな玄関口として、にぎわいと複合的な都市機能の創出を目指す大規模な再開発計画である。古川橋駅の北側に位置する旧市立第一中学校跡地を含む約2.8ヘクタールのエリアが対象で、長年活用されていなかった広大な土地を有効活用して、門真市の中心拠点にふさわしいまちづくりを実現することを目的としている。

このプロジェクトは、大きく3つの要素で構成されている。

1つ目は、市の新たなランドマークとなるタワーマンションを中心とした「まちづくり用地」の開発である。住友不動産、京阪電鉄不動産、ミサワホームの3社が事業者となり、住宅・商業・業務などの複合的な機能を持つ建物を整備することで、定住人口の増加とエリアの活性化を図る。

2つ目は、市民の生涯学習と交流の拠点となる「門真市立文化創造図書館」の建設だ。市が主体となって建設するこの施設は、市民が創造的な文化活動や学習に取り組める場を提供し、新たな出会いやコミュニティが生まれることが期待されている。

駅前からも工事の様子がうかがえる(2025年11月7日現在)駅前からも工事の様子がうかがえる(2025年11月7日現在)駅前からも工事の様子がうかがえる(2025年11月7日現在)将来構想図(出典:門真市「門真市幸福町・垣内町地区のまちづくりについて【概要】」)

3つ目は、人々の憩いと交通のハブとなる「交流広場」と「交通広場」の整備である。交通広場にはバスやタクシーの乗り場が設置され、駅前のロータリー機能の充実が計画されている。交流広場は、日常的な憩いの場やイベントスペースとして活用できるオープンスペースとなり、街に活気をもたらすだろう。

さらにこの事業では、老朽化した木造住宅が密集し、防災上の課題を抱えていた地域の課題解決も目的としている。道路や公園などの公共施設を整備し、宅地を整然とした形に再配置することで、安全で安心な、災害に強いまちづくりを進めているのである。

駅前からも工事の様子がうかがえる(2025年11月7日現在)新設される区画道路の一部駅前からも工事の様子がうかがえる(2025年11月7日現在)整備される宅地の一部門真市で過去最大規模のタワマン「シティタワー古川橋」の概要

門真市幸福東土地区画整理事業の敷地内に建つタワーマンションは、住友不動産、京阪電鉄不動産、ミサワホームが事業主となる「シティタワー古川橋」である。官民一体で進められる開発事業の中核をなすこのマンションは、幸福町の定住人口を増やし、街のにぎわいを創出する重要な役割を担う。

シティタワー古川橋は、門真市内で過去最大規模のプロジェクトだ。その概要は次のとおりである。

・敷地面積:8,527.0m2

・建築面積:3,579.70m2

・延床面積:7万20.96m2

・総戸数:648戸

・階数:地上41階建て

・高さ:約138m

間取りは2LDK〜3LDKが中心で、専有面積は54.41m2から71.12m2(第1期販売分)まで、幅広いプランが用意されている。第1期販売分の価格は4,800万円から8,100万円(最多価格帯5,900万円台)と、大阪市内のタワーマンションと比較して価格が抑えられている。そのため、初めてマンション購入を検討する若年層やファミリー層、都心から少し離れても広さや快適性を求める層にとって魅力的に映るのではないだろうか。

35階程度まで工事が進んでいる(2025年11月7日現在)35階程度まで工事が進んでいる(2025年11月7日現在)

建物の安全性にも配慮した設計がなされている。地震の揺れを効果的に吸収する「制振構造」を取り入れ、建物の損傷を抑えるだけでなく、家具の転倒などによる二次災害のリスクも低減させる。万一の災害に備え、防災備蓄倉庫を複数階に設置し、非常用発電機を備えている点も特徴だ。

エントランスは、天井高約5.8メートル、2層吹き抜け空間の「グランドエントランスホール」という、開放的な空間が計画されている。さらに、テレワークや勉強に集中できる「テレワークラウンジ」や、高層階でゆったりとくつろげる30階の「スカイラウンジ」、2種類の「ゲストルーム」など、さまざまなライフスタイルに応えるスペースも用意されている。

マンションの完成は2026年10月中旬、入居(引き渡し)は2027年3月下旬を予定している。

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35階程度まで工事が進んでいる(2025年11月7日現在)グランドエントランスホール完成予想図(出典:シティタワー古川橋「共用空間」)35階程度まで工事が進んでいる(2025年11月7日現在)スカイラウンジ完成予想図(出典:シティタワー古川橋「共用空間」)再開発エリアに誕生する「門真市立文化創造図書館」

門真市立文化創造図書館は、「地域とともにコミュニティを育む門真市の新しいランドマーク」をコンセプトにした、市民の自主的・創造的な活動を支援するための文化・学習施設である。施設の運営は、代官山T-SITEなどを手がけたカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社が担う。

建築中の様子(2025年11月7日現在)建築中の様子(2025年11月7日現在)建築中の様子(2025年11月7日現在)外観イメージ(出典:門真市「(仮称)門真市立生涯学習複合施設整備工事」)

各階に明確なテーマを持たせたフロア構成が、この図書館の大きな特徴だ。1階は「日々の生活の充実とまちの交流拠点」として、カフェやギャラリーウォークを設け、誰もが気軽に立ち寄れるにぎわいの空間となる。待ち合わせや休憩など、本を読まない人でも利用しやすいフロアである。

2階は「本の森と市民活動の場」と位置づけられ、文化会館機能と図書館機能が吹き抜けによって緩やかにつながる、開放的な造りになっている。3階は「自分を高める場」として、静かな環境でじっくりと読書や研究に打ち込める空間となり、個人で集中するための閲覧席や交流休憩スペースが用意されている。

4階は子育て世代に特化したエリアだ。段状の本棚空間や、ベビーカー置き場のある交流スペースなどを備えるほか、朗読会などのイベントに対応しやすい広々とした空間も計画されている。屋上テラスは西側が子育て世代、南側が全年齢を想定した2つのゾーンに分かれている。大人数で利用できる人工芝や大型ベンチもあり、親子でも安心して利用できるだろう。

建築中の様子(2025年11月7日現在)内装イメージ(出典:門真市「(仮称)門真市立生涯学習複合施設整備工事」)建築中の様子(2025年11月7日現在)4階段状の本棚空間のイメージ(出典:門真市「(仮称)門真市立生涯学習複合施設整備工事」)再開発で生まれる2つの広場

門真市幸福東土地区画整理事業では、まちの新たなにぎわいと交流の拠点として「交流広場」と「交通広場」の整備が計画されている。これらは、駅前の玄関口として、また市民の日常的な憩いの場として、エリア全体の魅力を高める役割を担う。

交通広場は、バスやタクシーの乗降場を集約し、ロータリー機能を充実させることで、利便性の向上を図るエリアである。これにより、公共交通機関への乗り換えがよりスムーズになるだろう。

交通広場イメージ図(出典:門真市「広報かどま 令和6年(2024年)9月号」)交通広場イメージ図(出典:門真市「広報かどま 令和6年(2024年)9月号」)

一方、交流広場は、日常的な市民の憩いや活動の場となるオープンスペースとして設計されている。「古川橋駅周辺に行けば何かがある」という期待感を創出することを目指し、さまざまな利活用が想定されている。

具体的には、桜まつりやハロウィーンイベントなどの季節の催しや、ファーマーズマーケット、子ども体験イベントなど、定期的なイベントでにぎわいを創出するイメージだ。また、日常的にはマルシェやカフェが出店し、人々が気軽に立ち寄り、交流できる空間を目指している。

交通広場イメージ図(出典:門真市「広報かどま 令和6年(2024年)9月号」)交流広場イメージ図(出典:門真市「広報かどま 令和6年(2024年)9月号」)官民一体の開発で古川橋駅エリアの資産価値は高まるか?

LIFULL HOME’Sの中古マンション相場によれば、古川橋駅周辺は近隣の主要駅と比較するとまだ割安な水準にある。2025年11月1日現在、古川橋駅の中古マンション相場は2,035万円(70m2)である一方、隣駅の門真市駅は2,538万円、大和田駅は2,219万円となっている。

しかし、門真市幸福東土地区画整理事業が完了すれば、幸福町周辺の価値は一層高まるだろう。

知的好奇心を満たし、人々が交流できる門真市立文化創造図書館が身近にあることは、子育て世代をはじめとする多くの住民にとって大きな魅力である。門真市で最大規模となるシティタワー古川橋が完成すれば、新たな人口を呼び込むことができる。人口の増加は、周辺の商業施設やサービスの需要を高め、地域経済の活性化につながるのだ。

さらに、本事業により道路が拡幅され、公園や広場が整備されることで、まちの景観は一新され、災害に強いまちへと生まれ変わる。交通広場の整備は駅前からのアクセスを強化し、日々の移動の利便性を高めるだろう。

この官民一体のプロジェクトにより魅力が高まる古川橋駅エリアに、今後も注目したい。

公開日:2025年 11月26日 06時00分

不動産特化ライター

元不動産営業のWEBライター。宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、賃貸不動産経営管理士。12年間の不動産営業を経験後、不動産特化ライターとして大手メディアや不動産会社のオウンドメディアで、住まいや不動産投資に関する記事を多く提供している。不動産業界経験者にしかわからないことを発信することで「実情がわかりにくい不動産業界をもっと身近に感じてもらいたい」をモットーに執筆活動を展開中。

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