人口減少が急速に進むなか、基幹産業のユズ栽培を通して「永続する村」を目指す高知県北川村の取り組みを取材しました。
いまや海外で大人気のユズ。
このユズの国内生産量50パーセントを占める日本一のユズ産地が高知県で、そのうち県内で2番目に生産量が多いのが北川村です。
2025年11月。村内の土佐北川農園ではヨーロッパに向けたユズ玉の出荷作業が行われていました。北川村は農薬基準の厳しいEUの輸出条件をクリアするため専用の消毒設備を設けるなどして2012年に国内で初めてEU圏への青果のユズの輸出に成功しました。
北川村は1965年頃、林業やコメ栽培の衰退を機に、産地化に着手しました。
海外への販路拡大にも先進的に取り組みユズ栽培は基幹産業として長く村の発展を支えてきました。しかし、村の人口に目を向けてみると2025年9月30日時点で1170人。国の推計で、2030年に1000人を割り、2040年には現在の約60パーセントとなる697人に減少するとみられています。
村民の多くがユズ栽培に関わっている北川村では、ユズ産地としての価値を向上させて、急速に進む人口減少に対応することが喫緊の課題です。
北川村はいま「永続する村」を目指し新たな取り組みをスタートさせています。その2本の柱が「園地の整備」と「生産者の育成」です。
現在整備が進む小島地区。北川村役場の松本さんに案内してもらいました。
整備では山間地の小さく分かれた園地を平らでまとまった園地にし、そうしてできた生産性の高い土地を生産者に分配することで、所得の向上につなげ、村への定着をはかります。
もともとは面積要件が設けられていて1か所につき5ヘクタールの広さが必要でしたが北川村が国に働き掛けたことで地域全体をひとつの事業地区とみなして、大規模な整備が行えるように要件が緩和されました。
また「園地の整備」と同時に行っているもうひとつの柱が「人材の育成」です。
北川村でユズ生産者として歩み始めた中里さん夫妻です。
村では2019年から地域おこし協力隊の制度を活用し3年間かけてユズの生産者を目指す移住者を育成。土佐北川農園の田所さんなど、先輩生産者が研修生を受け入れていちからユズ栽培のノウハウを伝えています。
中里さんは2025年研修を終え、北川村での就農をスタートさせました。
これまでに大阪や岡山などから13人が研修生となり、中里さん含む7人が研修を終えて村で生産者に。
また、ユズは収穫量が安定するまでに時間がかかることから就農開始後も5年ほどにわたって国や村の支援金制度を使ってサポート。収入面で不安を感じることがないよう環境を整えています。
もともとは神奈川県で建築関係の仕事をしていた雄さん。農業の知識は全くありませんでしたが、“師匠”田所さんのもとでしっかりと経験を積み、いまは「ユズ栽培が楽しくて仕方がない」と話します。
生産者が安心してユズ栽培に取り組める環境をつくり、北川村で長く生活してもらうことができれば、 村は存続することができる―。「ユズの産地を守り、永続する村」を目標に掲げ北川村の挑戦は続きます。

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