新興国市場のファンドマネジャーが次の大型投資先として注目しているのは中南米だ。今後予定される一連の選挙が中南米の政治地図を塗り替え、複数の国がトランプ米大統領により近い立場を取る可能性があるためだ。
アルゼンチンでミレイ大統領が中間選挙で勝利し、米国から前例のない支援を受けた後の大きな国債相場上昇を受け、こうした関心が高まっている。
アルゼンチンは多くの投資家にとって、右派寄りの政治転換、特にトランプ氏に友好的と見なされる政権への転換が新興国資産の値上がりを招くケーススタディーとなった。
パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO=ピムコ)の新興国市場ポートフォリオ運用責任者プラモル・ダワン氏は「中南米で振り子が右派へ振れる可能性がある」と指摘。「もし右派への転換が起これば、これらの資産は急上昇するだろう。ブラジルやコロンビアの現地市場がもたらすリターンに匹敵するものは他にない」と述べた。
チリおよびコロンビア、ブラジルといった中南米の主要経済国では、今後12カ月以内に大統領選が予定されており、投資家は3カ国全てでより市場寄りの政策転換が起こると見込んでいる。
アルゼンチンと並び、エルサルバドルやエクアドルといった米国との関係が比較的強いと見られる国々も今回の取引の中心にある。
ブルームバーグの集計によると、エクアドルとアルゼンチン、エルサルバドルのドル建て国債は、昨年の米大統領選でトランプ氏が勝利して以降、少なくとも24%のリターンを投資家にもたらした。これは、新興国ソブリン債指数のリターン(13%)を大きく上回る。

こうした国債値上がりは、一部のファンドが選挙結果を相場変動の原動力として狙っていることを浮き彫りにしている。
選挙関連の投資戦略を専門とするブラジルのヘッジファンド、ザフトラは10月に過去最高の月次リターンを記録した。ミレイ氏の中間選挙勝利によって手数料控除後で9.2%のリターンを確保した。
同ファンドは2023年にスタートし、金融会社ASAが運用。同社のポートフォリオマネジャー、フェリペ・スゼ氏によれば、ザフトラは今月16日のチリ大統領選第1回投票前にチリ・ペソに強気のポジションを構築していた。選挙戦では右派候補が台頭し注目を集めた。
グラマシー・ファンズ・マネジメントのソブリン調査共同責任者ペタル・アタナソフ氏は「トランプ政権が西半球を米国の裏庭と見なしている点が特徴的だ。米国は関与する権利だけでなく義務もあると考えており、特にチリのように鉱業依存度が高い国で中国の影響力に対抗する場合はそうだ」と語った。
同社は26年に向けチリに対し強気の見方をしており、国債とペソの双方に着目している。アタナソフ氏は「チリ通貨は為替市場でキャッチアップする部分があると考えている」と説明し、トランプ氏との関係改善が実現すれば大きなプラス要因になると付け加えた。
チリ大統領選第1回投票では、右派のホセ・アントニオ・カスト氏が12月14日の決選投票の最有力候補として浮上し、ペソが一時上昇した。
ただ、その後、世界的にリスク資産のセンチメントが悪化。コロンビアとブラジルの世論調査では、現職の左派指導者ペトロ大統領とルラ大統領への不満が高まっており、来年はより市場寄りの政策が採用される公算が大きくなっている。こうした展開は現地資産の支援材料になると市場関係者はみている。
RBCブルーベイの新興国ソブリン戦略シニアストラテジスト、グラハム・ストック氏は「われわれが変化を予想している国では、有権者が現政権に不満を抱いていることが理由だ」との見方を示し、「それはチリでも同じであり、恐らくペトロ氏が期待を裏切ったコロンビアでもそうだ」と話した。
新興国資産は25年に入り、米市場の政策不透明感を背景に資金がシフトする中でおおむね上昇している。債務再編や国際通貨基金(IMF)との合意進展、商品相場高も支えとなっている。
ただし、トランプ氏との近さが必ずしも利益に直結するわけではない。例えばインドのモディ首相は、米国との貿易協定をいまだに締結できていない。
それでも、トランプ氏の存在感は新興国市場でなお強い。ハンガリーではオルバン首相がアルゼンチンのような救済策の可能性に言及し、投資家を困惑させている。
原題:Traders Hunt for Next Argentina as Trump’s Sway Shapes Bets (1) (抜粋)
— 取材協力 Abhinav Ramnarayan and Andras Gergely

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