11月21日、記者に囲まれるCOP30のCOP30議長のアンドレ・コヘア・ド・ラゴ氏(写真:ロイター/アフロ)
国連気候交渉史で米国のトップ級官僚が不在となるのは初めて
[ブラジル北部パラー州ベレン発]ドナルド・トランプ米大統領がパリ協定再離脱に突き進む中、出たり戻ったりを繰り返す米国に対して国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)で「そもそも信頼できる気候リーダーではなかった」との見方が定着しつつある。
30年を超える国連気候交渉史で米政府のトップ級官僚が不在になるのは初。「唯一の米連邦政府代表」としてシェルドン・ホワイトハウス上院議員(民主党)が参加した。
これまでのCOPに比べ、米大手企業トップの姿はほとんど見られない。トランプ氏の報復を恐れ、脱炭素化に積極姿勢を見せるメリットよりリスクが上回るという経営判断が働いている。
コスタリカ元国連気候交渉代表は「米国不在は良いことだ。世界経済の脱炭素化は不可逆的だ。米国がいようがいまいがもう止められないところまで来ている」と話した。議長国ブラジルは開催前に「米国政府抜きで前に進む方法を見定める必要がある」との決意をのぞかせた。
中国はネットゼロに向け「安定の柱」を自演、COPで影響力を拡大する。安価な中国製電気自動車(EV)が新興・途上国に普及し、自国の石炭依存には頬被りし太陽光発電輸出で世界中の再生可能エネルギー導入を加速させる。しかしリーダーシップを発揮する動きは感じさせない。

WACOCA: People, Life, Style.