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“民族の言葉”が消滅しかかっていた台湾。「言葉が消えるということは、民族が消滅すること」。“民族の言葉や文化”を未来へつなぐため児童が言葉に触れ、狩猟や魚とりを体験する。多文化教育の最前線を切り開く台湾の小学校を取材しました。
【写真で見る】教室に生徒はたった1人 自身の母語を学ぶ女の子
■生徒がたった1人でも…台湾で導入の“母語教育”
先生
「文の最初と最後の音を正確に読んでみましょう」
台北市内にある小学校で行われているのは、少数民族タロコ族の言葉「タロコ語」の授業です。
タロコ族の生徒
「以前は話せなかったけど、今は話せるようになりました。(自分の)文化を理解したいです」
台湾では1994年以降、段階的に“母語教育”が導入され、今では小学校〜高校まで週1回、民族の言葉である“母語”を学ぶことが義務付けられています。
タロコ語の授業を受ける生徒はたった1人。しかし、どんなに対象生徒が少なくても、学校は生徒が希望する言語の先生を探し、教育を受けさせる義務があります。
■「言語の消滅は民族の消滅」“母語教育”の意義
なぜ、このような取り組みが必要なのでしょうか。
張秀英 先生
「私たちの言葉は絶滅の危機にありました。今最も大切にしているのは言葉の復興です」
台湾には、古くから台湾に住む中華系の人々が使う「閩南語(びんなんご)」や「客家語(はっかご)」の他、16の先住民族にそれぞれの言葉が存在します。
しかし、日本統治時代には日本語教育が行われ、その後、中国本土から渡ってきた国民党は中国語を「国語」としました。結果、各民族の言葉は消滅しかかっていたといいます。
母語教育を推進するプロジェクトメンバーの張校長は、母語教育の意義をこう強調します。
台北市内南港国民小学校 張嘉芬 校長
「ひとつの言葉が消えるということは、ひとつの民族が消滅すること。台湾でもひとつの言葉しか使えない時期がありました。今後、台湾に多様な言語が話される美しい光景が戻ってくることを心から願っています」
“言葉が失われる”。それは文字だけでなく、家族のルーツを失うことも意味します。
台湾の取り組みは、言葉を保存することの難しさと大切さを教えてくれます。
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