2025年の国家安全ガイドでは、台湾の事実上の軍事的懸念である中国本土を脅威として具体的に挙げてはいないものの、掲載されている地図や想定されたシナリオは、北京からの侵略が主要な懸念事項であることを強く示唆している。

このハンドブックは、原発事故や地震などの災害もカバーしているが、世界中の軍隊が紛争に際して民間人にどのように備えることを期待しているかについて具体的な洞察を提供している。

台湾の新しいハンドブックが、自国での戦争について我々に教えてくれることを紹介しよう。

家庭の現状を把握する

ハンドブックは脅威にさらされた際に重要な、物資の調達と管理について考えるように呼び掛けるところから始まる。

把握しておくべきなのは以下のような事項だ。

家族の人数年配者、ペット、特別な注意が必要な子どもの数短期間の食料慢性疾患の医薬品ラジオ、現金携帯電話またはインターネットが不通の時の固定電話ポータブル充電器家庭での十分な備蓄戦争時を想定して、スーパーマーケットの店員を対象に訓練を行っている。戦争時を想定して、スーパーマーケットの店員を対象に訓練を行っている。Daniel Ceng/Anadolu via Getty Images

このハンドブックでは、少なくとも1週間は持ちこたえられる物資を継続的に備蓄しておくことを推奨している。これは各家庭が、今必要なものだけを買うのではなく、備蓄している食料や生活必需品を定期的に補充しながら消費していくことを意味する、

台湾で備蓄を勧められている物資は以下のようなものだ。

ナッツ、カップ麺、缶詰、チョコレートなどの乾燥食品1日1人あたり3リットルの水軍手やビニール袋などの家庭用品コンタクトレンズ、衛生用ふきん、生理用品などの衛生用品粉ミルクなどのベビー用品、補聴器などの高齢者用品携帯ガスコンロ、LEDランプ、乾電池、浄水器などの非常用品非常持ち出し袋の準備

緊急避難が必要な場合、家族が使っている必需品を簡単に持ち運べるのが非常持ち出し袋だ。

一般的な非常持ち出し袋として推奨されている中身は以下のようなものだ。

水(600ml×2本)インスタント食品医薬品、生理用品、簡単な清掃グッズ、鎮痛剤身分証明書、保健証、金融関連の書類寒冷時や濡れたときのための衣服丈夫で歩きやすい靴ホイッスル充電器マルチツールナイフ紙、ペン、地図携帯ラジオと電池軍事的な脅威のシナリオ台湾で武器を持つ国防員台湾は、中国との緊張が膨れる中、国防体制を強化している。Daniel Ceng/Anadolu via Getty Images

2025年版のハンドブックでは以前のバージョンよりも詳細に、具体的な敵対行為や破壊工作のシナリオがいくつか列挙されている。それらは中国について言及しているわけではないが、中国南東部の海岸と台湾海峡の地図が添えられている。

挙げられている脅威の例は以下の通り。

海底ケーブルや重要インフラの破壊台湾艦船への乗船を主張する敵の海軍パトロール台湾近くでの射撃演習軍事演習を装った台湾周辺の飛行禁止区域の設定台湾領空を飛行するドローン台湾海峡を越える交通や商業活動の遮断直接の攻撃または武力侵攻侵入または破壊行為敵国が上陸した際に行うべきこと台湾の兵士中国政府は以前から台湾との再統一が目標だと述べており、戦争が勃発すれば上陸作戦が行われる可能性が高い。 Daniel Ceng/Anadolu via Getty Images

台湾の以前のハンドブックでは、中国本土の人民解放軍と台湾の中華民国国軍との識別について書かれていた。

だが2025年版ではそれが無くなり、敵軍は変装することが可能だと示唆されている。

「距離、周囲の状況、その他の要因によって混乱が生じる可能性があるため、民間人は友軍と敵軍を区別することが難しい場合がある」とハンドブックには記されている。

ハンドブックでは市民に、軍事活動を目にした場合、できるだけ早くその地域から離れ、台湾軍の動きの動画をオンラインに投稿しないように呼び掛けている。

空襲で生き残る方法

空襲で生き残る最良の方法は地下シェルターを探すことだが、台湾のハンドブックでは時間が限られた場合、瓦礫の衝撃によるケガを避けるため、壁、ドア、窓から離れるよう書かれている。

屋外にいる人には、地面に横たわり、頭を覆い、口をわずかに開けて爆発から顔を背けるよう促している。

ストレスや不安への対応

ハンドブックでは人々にストレスや不安について話すことを奨励する一方で、圧倒されることを避けるために、重要でないニュースやオンライン情報に触れることを制限している。

さらに、「健康を維持し、ストレスを軽減するために、適切な食事、睡眠、運動習慣を維持するように」と付け加えている。

子どもと戦争について話す

ハンドブックでは特に、親が子どもと一緒に非常持ち出し袋を準備し、戦争に対する不安についてオープンに話すことを提案している。

また、ハンドブックには、子どもたちに正当なニュースと偽情報を区別する方法を意図的に教えるべきだとも記されている。

家族の待ち合わせ場所を決める台湾の警察官も参加する訓練家族全員が落ち合う場所を少なくとも3つ決めるように提案している。Daniel Ceng/Anadolu via Getty Images

ハンドブックでは、家族全員が行き方をわかっている場所で緊急の待ち合わせ場所を少なくとも3つ決め、家族や友人の中で主要な3人の連絡先を家族全員が覚えておくよう勧めている。

また、近所の避難経路について知り、近くの防空壕や救護所も確認するべきだとしている。

基本的な救急スキル訓練で、負傷兵役の男性を運ぶ2人の男性負傷した兵士の救助と医療ケアを行う訓練に参加した市民ボランティア。Alberto Buzzola/LightRocket via Getty Images

ハンドブックでは、有毒化学物質や原子力に関するシナリオ、火傷、出血、蘇生が必要な際に行うべき簡単な応急処置法にも触れている。

中国製アプリや携帯に関する警告DeepSeekのアプリアメリカ議会は、中国のアプリが安全保障上の潜在的な脅威になりつつあると表明した。Nikolas Kokovlis/NurPhoto via Getty Images

ハンドブックでは、AIプラットフォームのDeepSeek、SNSのRedNoteやTikTok、メッセージアプリのWeChatなど、中国で開発された人気のスマホアプリによるデータ収集のリスクについても警告している。

「監視カメラや画像センサーなどのカメラ機能付きの中国製デバイスの一部は、プライバシーの流出を引き起こしかねない」とハンドブックには書かれている。

アメリカも中国製アプリが国家安全保障上の潜在的な脅威となる可能性について懸念を表明しており、米議会は2024年、TikTokのバイトダンス(ByteDance)に対し、アプリから撤退あるいはアメリカでの使用禁止を要求する法律を可決した。

中国との戦いに備えて、アメリカ企業が大型無人軍艦に必要な技術をテスト中 | Business Insider Japan

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