
米ホワイトハウスの閣議室でトランプ大統領と会談するウクライナのゼレンスキー大統領。2025年10月17日撮影。REUTERS/Jonathan Ernst
[キーウ/パリ/ローマ/ブリュッセル/ワシントン 21日 ロイター] – ウクライナのゼレンスキー大統領は21日、米国が提示したロシアとの和平案の受け入れを巡り、ウクライナが尊厳や自由、もしくは米国の支持を失うリスクがあるとし、「厳しい選択を迫られている」という認識を示した。
トランプ米大統領は、ウクライナが和平案を受け入れる期限は来週27日が適切と表明。複数の関係筋によると、米国はウクライナに合意するよう圧力をかけるため、ウクライナへの情報共有や武器供給を削減する方針を示しているという。
トランプ大統領はまた、マムダニ次期ニューヨーク市長との会談の冒頭で記者団に対し、ロシアの侵攻を阻止するため、「ゼレンスキー大統領は米国が提案する和平案を承認する必要がある」と述べ、受け入れに向けて改めて圧力をかけた。
さらに、戦争がより早く解決すると予想していたという見方を改めて示した。
米国が提示した28項目の和平案には、ウクライナの領土割譲や軍縮のほか、北大西洋条約機構(NATO)加盟の禁止など戦争終結に向けたロシアの主要な要求の一部が盛り込まれている。同時に、ロシアが制圧した地域からの軍撤退など、ロシア側が反対する可能性のある内容も含まれる。
ロシアのプーチン大統領は、米国が提示した和平案を受け取ったと明らかにし、ウクライナとの紛争の平和的解決の基盤になり得るとの認識を示した。
また、「米政権はこれまでウクライナ側の同意を得られていない。ウクライナは反対している」とも述べた。
<ウクライナの尊厳と自由>
ゼレンスキー大統領は国民に向けた演説で、和平案を巡り米国と協力して取り組んでいく姿勢を示しつつも、「ウクライナの利益を裏切ることはない」と強調。向こう1週間で政治圧力が強まると予想される中、ロシアが和平プロセスの妨害を試みる恐れがあるとして、国民に結束を呼びかけた。
その上で「尊厳を失うか、主要なパートナーを失うリスクを負うか、極めて困難な選択を迫られている」と強調。「ウクライナは今、歴史の中で最も困難な時期に直面している」とし、「ウクライナ国民の尊厳と自由が見過ごされることのないよう、24時間体制で戦う」と言明した。
<欧州は独自の対案検討の可能性>
仏大統領府によると、米国がウクライナに和平案を提示したことを受け、仏英独首脳は21日、ゼレンスキー大統領と電話会談を実施。和平案はウクライナが完全に関与し、ウクライナの主権を守り、将来的な安全を保証するものでなくてはならないとの見解で一致した。
複数の関係筋によると、ウクライナと仏英独の4カ国は、米国が提示した28項目の和平案に対抗する独自の和平案を取りまとめる作業を進めている。他の欧州諸国もこの動きに加わる可能性が高いとしている。
また、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン委員長は21日、EU首脳は23日に20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれる南アフリカのヨハネスブルクでウクライナ情勢を協議する会合を開くと発表。「ゼレンスキー大統領と協議し、現状について意見交換した。ウクライナ抜きのウクライナに関する決定はあり得ないという立場を明確にした」と改めて表明した。
ゼレンスキー氏は21日、米国のバンス副大統領とも電話会談を実施。電話会談は約1時間に及び、ゼレンスキー氏は会談後「米国と欧州と協力し、国家安全保障担当の補佐官レベルで和平への道筋を現実的なものにしていくことで合意した」とXに投稿。「トランプ大統領の流血を終わらせる意欲をウクライナは常に尊重しており、あらゆる現実的な提案を前向きに受け止めている」とした。
また、ドイツのメルツ首相はXへの投稿で、トランプ大統領と和平案を巡り電話会談したと明らかにした。メルツ首相は「良好」な会談だったと述べた。報道官によると、メルツ氏は今後の対応を調整するため、他の欧州諸国に連絡する見通し。
和平案が協議される中でもロシア軍はウクライナ東部で進軍を続けており、ロシア軍のゲラシモフ参謀総長は20日、プーチン大統領に対しウクライナ東部ハルキウ州の要衝クピャンスクを制圧したと報告。国内ではゼレンスキー大統領の側近を巻き込む大規模な汚職疑惑を巡る捜査が進められており、ウクライナは極めて困難な状況に直面している。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab



WACOCA: People, Life, Style.