
5月20日、台湾の台北で講演する鴻海精密工業の劉揚偉・董事長(会長)。REUTERS/Ann Wang
[東京 21日 ロイター] – 電子機器受託生産最大手の台湾・鴻海精密工業(2317.TW), opens new tabの劉揚偉・董事長(会長)は、今後3ー5年は人工知能(AI)向け投資を最優先し年間で約20ー30億米ドル(3100ー4700億円)を投じる方針を明らかにした。日本におけるAIや電気自動車(EV)分野での投資に向けて、日本政府と協議中であることも明かした。
21日から開催する自社イベントに先立ち、3日に実施したロイターの単独インタビューで語った。
劉氏によると、AI以外の重点分野であるEVや半導体、量子コンピュータ技術、電池への投資も続けるが、AI向けが今後の全投資額の半分以上を占めることになるという。日本での投資、日本政府との協議については詳細な言及を避けたが、EVやAI分野の「プロジェクトが現在進行中」といい、特にAI関連は「国内に保有したいものだ」と述べ、AIシステムの国内製造がデータ主権にとって極めて重要との認識を示した。
EVでの日本企業との協業については、社名は伏せつつ「複数のICT(情報通信関連)企業と協議中」であるとも明かした。鴻海は三菱自動車(7211.T), opens new tab、三菱ふそうトラック・バスとの協業は発表済みで、さらなる協業先を模索中だが「(日本の自動車メーカーとは)接触はしているものの、(交渉には)時間がかかっている」という。
EVやAIなどのハイテク産業では「スピードが極めて重要だ」とし、「鴻海の強みである『驚異的なスピード』と日本の真価が発揮される『品質』を融合させればウィンウィンの戦略になる」と述べた。傘下のシャープと三菱自の事例をモデルケースにし、協業に慎重な他の日本車メーカーへの手本にしたいとも語った。シャープは鴻海の開発車両をベースとしたEVを27年度に発売する計画。三菱自は鴻海からOEM(相手先ブランドによる生産)供給を受けて豪州で26年後半に販売する予定。
EVで世界シェア5%、売上高1兆円台湾ドル(約5兆円)を年内に目指す計画は延期したが、新たに設ける達成時期については「タイミングをみている」という。中国勢の再編が「近いうちに必ず起こる」と想定。新興企業に続いて淘汰されるのは「利益を上げていないのに自力で大量生産している企業」とみており、「各社が全力を尽くした後、業界が再編され勝者が浮上するだろう。その時期こそがわれわれが狙っているタイミングだ」と語った。
白木真紀、David Dolan、Daniel Leussink 編集:田中志保
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