PwC英国とIFSは、脱炭素化が難しい業界での産業用AIの活用が脱炭素化の取り組みを推進し、目標達成の成果を挙げられるとするホワイトペーパーを発表した。

 「The Intelligence Behind Sustainability : Industrial AI’s Critical Role in Decarbonization」と題するホワイトペーパーでは、物流や鉄鋼、セメント、アルミニウム、基礎化学、石油・ガスなど世界全体の温室効果ガス(GHG)排出量の約4割を占め、脱炭素化が難しい分野での産業用AIの活用が、持続可能性とオペレーション効率を同時に高め、測定可能な排出削減を実現できると主張する。

 IFSが製造やエネルギー、建設、公益事業などの1700人以上の経営上位層を対象に実施した調査で86%が、AIはエネルギー効率向上や排出量の報告、二酸化炭素(CO2)管理などの環境目標の達成に貢献すると回答した。

 例えば、AIによるフィールドサービスの最適化で移動距離を平均37%削減し、業務効率の向上とGHG排出削減を両立できたほか、AIによる電力スケジュールの最適化でスコープ2(自社と調達エネルギー)のGHG排出量を最大47.6%削減したケースがある。AIで設備資産の予知保全を行い、資産の延命による埋込み炭素の削減や故障によるエネルギー損失の防止といった効果も得られるとする。

 また、AIの使用自体が電力消費を増やす“パラドックス”もある。ホワイトペーパーでは、AIの導入でデータ処理や計算リソースの増加が増加し、エネルギー需要を押し上げる可能性を指摘するものの、AIを責任ある形で導入すれば、実質的にはGHG排出削減に大きな効果をもたらすとの見解を示した。英国機関の分析では、電力、輸送、食の分野でAI活用が進めば、2035年までに年間3.2~5.4ギガトンのCO2排出量を削減できる可能性があるという。

 PwC英国とIFSは、再生可能エネルギーの調達、低炭素化を意識した計画、エッジコンピューティング活用、データ品質や検証に関する強固なガバナンスの組み合わせで、AIの効果とエネルギー使用のバランスを図るアプローチを提唱している。産業用AIは、オペレーション全体にわたる追跡、監査が可能なデータを生成でき、規制当局や投資家などを含むバリューチェーン全体の脱炭素化において重要な役割を果たすとも主張している。

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