東京都採択でUPDATERがタンザニアに再エネ輸出 リユース太陽光×GXモデルを世界展開へ提供:株式会社UPDATER

リユース太陽光パネルを活用した再エネ循環モデルを海外へ――。UPDATERが東京都の「グローバルサウスのGX促進プロジェクト」に採択され、タンザニアでのオンサイトPPA型再エネ事業を本格化させる。

 

東京都環境公社が進める「グローバルサウスのGX促進プロジェクト」に、UPDATERが提案した再エネ事業が採択された。東京都環境公社によると、都内企業のGX技術を海外へ展開し、脱炭素化と地域経済の発展を支援する取り組みの一環だ。リユース太陽光パネルを活用する同社のモデルは、電力供給が不安定なタンザニアで再エネを安定提供する仕組みとして評価された。
UPDATERは2025年度から現地で事業化を進め、農産物加工や冷蔵保存といった基幹産業の課題解決にも再エネを活かす。

UPDATERの特徴は、国内で役目を終えた太陽光パネルを再び価値化する“ユーズド・イン・ジャパン”の仕組みを確立した点にある。国内ではパネル廃棄が社会課題となる一方、タンザニアなどグローバルサウス地域では電力不足が経済発展の足かせとなる。その双方をつなぎ、循環型の価値創出を図ることが同社の強みだ。
さらに、初期費用を不要とするオンサイトPPA型モデルを採用し、導入負担を極力抑えた。東京都環境公社によると、この導入ハードルの低さと、現地企業が無理なく再エネにアクセスできる仕組みが実効性の面で特に高く評価されたという。

 

同社の事業哲学は、電力の“透明性”を確保することにある。発電した電力の由来を可視化し、利用者との関係性を明確にする取り組みを国内で積み重ねてきた。今回の海外展開では、ブロックチェーンを用いて再エネ発電からカーボンクレジット創出までの流れを一体管理し、“誰が、どこで、どのように削減したか”を明示する仕組みを導入する。
東京都環境公社によると、この透明性は国際市場での信頼性を高め、カーボンクレジットの価値をより正確に伝える基盤となる。

国内の課題解決と海外支援を一つのモデルとして結び付ける点にUPDATERの独自性がある。使用済みパネルの再活用、初期投資不要の導入方式、現地産業の強化、そして削減価値を日本企業の脱炭素経営に還流させる流れは、ESGと事業成長を同時に成立させる仕組みとして示唆が大きい。
同社は2030年に向け、タンザニア31州への展開に加え、ケニア、ウガンダ、ルワンダなど東アフリカ地域にも事業を広げる方針だ。アフリカで生まれたクレジットが日本のGX推進を支える新たな循環は、気候分野における国際的な連携のあり方を変える可能性がある。

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