『シリーズ命を守る・防災』です。
先日、静岡県熱海市で発生した大規模土石流。
現在も行方不明者の捜索が続いています。
今回は土砂災害への備えについて考えます。
【防災システム研究所 山村武彦 所長】
「今回、熱海に行って一番びっくりしたのは、いつもの土石流と違ったこと」
7月3日に発生し、多くの犠牲者を出した熱海市の大規模土石流。
防災システム研究所の山村武彦所長は9日、調査のために現地に入りました。
【山村武彦所長】
「大雨後の土石流は、ほかの箇所も一斉に同時多発的に発生するのが普通なんですね。しかし、今回は伊豆山の上流だけで発生している。(原因が)大雨だけだったのか…」
上流の谷を埋めた盛り土に原因があるのでないかと指摘します。
今回の土石流を受け、熊本県は、土砂災害警戒区域の上流に崩れる危険のある盛り土がないか、緊急点検を実施しています。
【県森林保全課治山班 塩崎雄理 参事】
「新たに盛り土が造成されていないか、渓流内に土石流化する危険な場所がないか重点的に確認しています」
国内で毎年1000件以上発生している土砂災害。
熊本県内では去年、7月豪雨もあって、都道府県別で1位の227件でした。
【地盤工学が専門 熊本大学・北園芳人名誉教授】
「熊本は全国的に見ても雨の多い地域なので(土砂災害の)危険度も高くなる」
土砂災害には『がけ崩れ』『土石流』『地すべり』の3つがあります。
突然、斜面が崩れ落ちる『がけ崩れ』と、山腹で崩れた土砂や石が大雨によって一気に下流へ押し流される『土石流』は特に注意が必要です。
【地区の住民】
「2メートルぐらいの岩が流れてきた。梅雨になると怖いですね。その時のことを思い出すので」
地盤工学が専門の北園 芳人熊本大学名誉教授と、阿蘇市一の宮町の坂梨地区を訪ねました。
ここでは9年前、九州北部豪雨で大規模な土石流が発生。
6人の住民が命を落としました。
【北園芳人名誉教授】
「土石流は土砂と一緒に水が流れてきて勢いがつくから、破壊力が大きくなります」
現場の崩れた斜面には、巨大な砂防ダムが造られていました。
【北園芳人名誉教授】
「対策が終わったから絶対安心じゃなくて、危険な地域であるということを認識しておかないといけない」
現場周辺は現在も土砂災害警戒区域、いわゆる『イエローゾーン』に指定。
北園さんは、熊本県の土砂災害警戒マップで自分が住んでいる地域の危険度を確認することが大事だと話します。
【山村武彦所長】
「ときには避難情報が出てからでは間に合わないということも考えておくのが、この土砂災害への対策です」
一方、山村さんは、土砂災害の危険度を5段階で色分けして地図上にリアルタイムで表示する気象庁の『キキクル』の活用を呼びかけます。
こちらは、人吉市に大雨の特別警報が出された7月10日の『キキクル』の画像です。
ピンクは「非常に危険」で、土砂災害警戒情報が出される警戒レベル4に相当。
紫は「極めて危険」で、すでに災害が発生している恐れがあります。
【山村武彦所長】
「ピンク以上になったら危険区域から脱出する、立ち退き避難。一時的にとりあえずそこから脱出することを考えた方が安全です」
「土砂災害は発生すると、破壊力、スピード、そして甚大な被害に結びつきますので、ともかく早め早め、念のための避難、これが一番大切」

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