ウクライナのゼレンスキー大統領は12日、凍結されたロシア資産の活用を巡る足並みの乱れを克服するよう欧州連合(EU)諸国に訴えた。ロシアとの戦闘を継続するには、ウクライナ経済を支える新たな資金が不可欠だと指摘した。
ゼレンスキー氏はキーウで行われたブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「この決定が得られるよう期待している」と表明。そうならなかった場合は「代替策を見つける必要がある。これはわれわれの生存に関わる問題だ。このため、強く必要としている。私はパートナーを信頼している」と述べた。

ゼレンスキー大統領はロシアとの戦闘を継続するには、ウクライナ経済を支える新たな資金が不可欠だと指摘
Source: Bloomberg
EUはロシアの国家資産を使ってウクライナに1400億ユーロ(約25兆1500億円)相当の融資を行う案を巡る結論を12月まで先送りしている。ウクライナは来年初めまでに新たな資金を必要としている。
その間にも、ロシア軍は戦線で徐々に前進しているほか、本格的な冬が近づく中でウクライナのエネルギーインフラを攻撃して経済を揺さぶっている。
ロシアによる侵攻開始からすでに4年目に入っており、ウクライナ政府は疲弊した経済や戦力不足への対応を余儀なくされている。トランプ米政権の発足以降、欧米諸国による無条件の支援にも陰りが見え始めた。
米国の資金支援が鈍る中で、欧州各国はロシアの新たな脅威に対抗するため、支援を拡大させる方針を示している。しかし、EUは先月、ロシア資産の活用を巡り意見をまとめられず、最大の凍結資産を保有するベルギーが法的責任を問われるリスクへの懸念から慎重姿勢を崩さなかった。スロバキアのフィツォ首相は8日、「資金がウクライナの軍事費に使われるなら」支持しないと述べた。

ウクライナのゼレンスキー大統領(11月12日、キーウで)
Photographer: Olga Ivashchenko/Bloomberg
ゼレンスキー大統領は「この戦争の代償はロシアが支払うべきだ」と指摘。凍結資産から得られる資金については、米欧からの防空システム調達拡大や、ロシアの標的を攻撃するためのドローン生産に充てると説明した。
「われわれには追加の資金がない。この方法が公正だ」と強調した。
また、トランプ氏に対しては、米国内で凍結されているロシア資産を活用することで、欧州の首脳らに行動を促す「良いシグナル」を送ることができると提案した。
ゼレンスキー氏はさらに、米国と共同で迎撃型ドローンの生産を開始したことを明らかにした。「米国とウクライナの共同生産だ。今後さらに拡大することを期待している」と発言した。
東部ドネツク州の要衝ポクロウシクではロシア軍が制圧を試みており、ゼレンスキー大統領は「非常に難しい」状況にあると認めた。部隊の撤退判断は現地の司令官に委ねるとし、「廃墟のために命を落とすよう強いる者はいない」と述べた。
「私は兵士、特に前線の司令官を支持する。状況をどうコントロールできるか。さもなければ、われわれにとって代償が大き過ぎる。われわれにとって最も重要なのは兵士たちだ」と語った。

ポクロウシクにある村での攻撃後、炎に包まれる住宅
Photographer: Roman Pilipey/AFP/Getty Images
また、ロシアはポクロウシクを制圧することで、戦争を終わらせるにはウクライナが東部ドンバス(ドネツク、ルハンスク両州)から手を引くべきだと、トランプ大統領を説得する材料にしようとしているとの見方を示した。
「われわれは東部ウクライナを放棄できない」とした上で、「最も重要なのは、彼らがこの町やあの町を占拠した後、さらに進軍しないという保証を誰も与えてくれないことだ。抑止力となる要素は存在しない」と述べた。
ロシア軍については「彼らにそれほど力は残っていない」と語り、ウクライナのエネルギーシステムを標的にするのは春までにウクライナを降伏させる取り組みの一環だとした。
ゼレンスキー氏は、停戦に向けたロシア側との協議には引き続きオープンだとし、「もし彼らが本当に戦争を終わらせたい、あるいは終わらせる用意があるなら、外交の道に切り替える必要がある。だからこそ、トランプ大統領に私はオープンだと伝えたのだ」と話した。
ロシアに関して「彼らは法を尊重しないが、米国とトランプ大統領は尊敬している。トランプ氏ならプーチン氏を交渉の場に引き出せると思う。これは極めて重要だ」と述べた。
原題:Zelenskiy Says Ukraine’s Survival Rests on New Funds From Allies(抜粋)
— 取材協力 Olesia Safronova, Volodymyr Verbianyi and Anthony Halpin

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