徳島で導入されたイエロー・レッド・ブルーの3色カード…一発退場だけでなく“称賛”も
他を侮辱することなく、称え合い、公正公平を保ちながらプレーする。そんな土壌を養うために、徳島県軟式野球連盟は2025年1月1日から「すだちくんカード」制度を導入している。カードは全部で3色。イエローは警告、レッドは退場、ブルーは称賛を表す。審判員は試合中、胸ポケットに常時携行しており、学童からシニア世代までの全ての軟式野球の試合で、場面に応じたカラーカードが提示されている。
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イエロー・レッドカードによる警告は、隣県の高知県軟式野球連盟の学童部で2020年から運用されており、一定の効果が出ていることをネットニュースで知った徳島県軟式野球連盟の十川佳久会長が、「すぐに取り組むべき」と採用。わずか2か月で運用開始に至った。フェアプレーや思いやりのある行動などを称賛する“ブルーカード”は「注意するばかりではなく、褒めることも大事」と独自に導入した。
警告カードの効果は、レッドは即刻退場処分となり、イエローも1試合において累積2枚でレッドに相当する。退場処分を一度受けた者は、チームが勝ち進んでも、当該大会の次の試合以降には出場できない。監督、コーチ、保護者、応援者が、自チームあるいは相手チームの選手に対して、社会的に容認できない暴言を発すること、暴力を振るうことを厳禁とし、それが行われたと確認した場合はカードで警告する。一方で、ブルーには枚数制限はない。
また、審判員のストライク・ボールに対するクレーム(異議)を発した場合にも、カードによって警告が行われる。ストライクやボール、セーフやアウト、タッグプレーなどについて申し立てたい場合は、聞き苦しい言葉でクレームをつけるのではなく、カードと同日に運用を開始した「協議(リクエスト)」制度を利用しなければならない。1審制のときは保護者審判員と話し合い、3審制のときも状況判断を慎重に行うことが定められている。
連盟事務所への投書の大半が、子どもたちを取り巻く環境改善を求めるもの
導入をした理由について、十川会長は「毎年多くの投書が届くんですよ。差出人を書いてあるものもあれば、匿名のものも。そのほとんどが小・中学生の少年野球。大人による威圧的な指導や、言葉遣いを、どうにかしないといけないと指摘する内容です」と語り、子どもたちが明るく、楽しく野球をするための環境整備の一手を探していたという。
同県で8月5日から5日間開催された「大鳴門橋開通40周年記念大会 阿波踊りカップ 全国学童軟式野球大会2025」と、敗退チームによる交流大会では、「すだちくんカード」制度と「リクエスト(協議)」制度が適用され、選手たちがのびのびとプレー。大会中は、対戦相手へコールドスプレーを持ち寄った選手1人にブルーの「すだちくんカード」が提示され、レッド、イエローのカードの提示はなかった。
井上靖審判長は「野球を好きになってもらうために導入したものです。導入初年度ということもあり、大目に見ましたが、1回戦に1チームだけ口頭注意しています。来年以降も“抑止力”として機能させていくつもりです」と振り返った。
カードにデザインされている「すだちくん」は、1993年の東四国国体にあわせて県のマスコットとして誕生して以来、県民に愛され続けてきた、ずっと笑顔のキャラクターだ。野球を愛する全ての人の表情がそうなる未来を、同連盟はこれからも切り拓いていく。
(喜岡桜 / Sakura Kioka)
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