2025年11月11日 午前7時30分
【論説】関西電力が福井県内3原発全ての敷地内に設置を計画する使用済み核燃料の乾式貯蔵施設を巡り、関電は2035年末までに県外の中間貯蔵施設に搬出を開始できない場合、乾式貯蔵施設の使用済み核燃料を原発内の貯蔵プールに戻す方針を示している。
保管の長期化やなし崩し的な貯蔵量増加の懸念に対し、期限を守る「覚悟」を表したと説明するが、貯蔵プールに戻すことでなぜ搬出が担保されるのか理解に苦しむ。搬出先となる中間貯蔵施設の計画地点や、再処理工場(青森県六ケ所村)の完成を明確化する方が先決ではないか。
関電の乾式貯蔵施設は、30年ごろに操業開始を目指す中間貯蔵施設に円滑に搬出するための準備施設と位置付けられている。他の電力事業者のように使用済み核燃料の貯蔵量拡大を目的としておらず、関電は運用に関して、使用済み核燃料を乾式貯蔵施設に移すことで原発内の貯蔵プールに空いたスペースは、原則使わないとしている。
乾式貯蔵施設は、使用済み核燃料を専用容器に入れて外気で冷却しながら保管する。原発内の貯蔵プールは電気で水を循環させて冷やす必要があり、各原発の容量も逼迫(ひっぱく)しているため、原子力規制委員会の山中伸介委員長は同施設に関して「(原発内の)プールに貯蔵するよりも好ましい」との認識を示す。いったん同施設に移した使用済み核燃料をプールに戻すことは、本来必要のない作業を行うことにもなる。関電自体が「通常考えられない、やりたくないこと」(水田仁副社長)と認めており、県会や立地町から疑問の声が相次ぐのも当然だ。
使用済み核燃料の県外搬出問題では、中間貯蔵施設の県外計画地点明示の期限が守られない状況が繰り返されてきた。直近では23年末までに提示できない場合、40年超運転の原発3基を運転しないとしていたが、現時点でも計画地点は明確にならないままだ。
関電の県外搬出に向けたロードマップ(工程表)で主な搬出先とする再処理工場は、完成延期を繰り返している。現在も、原子力規制委員会の審査で事業主体の日本原燃による耐震設計などの説明が当初計画より遅れる状況となっている。
県は原燃の説明終了後に乾式貯蔵施設の設置を認めるか判断する考えだが、中間貯蔵施設や再処理工場が不透明なままでは、県内に使用済み核燃料がたまり続ける構図は変わらない。乾式貯蔵施設がその場しのぎにとどまるようでは、設置に理解は得られない。

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