26日発表予定の英国の予算案は、財政の均衡を図る取り組みが債券トレーダーを満足させるかどうかに関わらず、ポンドにとって悪いニュースとなりそうだ。

  リーブス英財務相が予定通り大幅な増税を実施すれば、債券トレーダーによる高い利回りの求めを抑止できるかもしれない。だが、それは経済成長を損ない、ポンド安を招くリスクがある。

  リーブス氏が債券市場を満足させることができず、英国債が売られるという、比較的確率の低いシナリオでも、ポンドは「英国売り」という広範な流れに巻き込まれるため下落する。2022年、トラス政権(当時)が財源の裏付けなしに大幅な減税を発表した際もこうした動きが起きた。

  オールスプリング・グローバル・インベストメンツのマルチアセット・ソリューションズ部門シニア・ポートフォリオ・マネジャー、ルシャブ・アミン氏は「この予算案がポンドにとってプラスだという、説得力ある主張をするのは非常に難しい」と語る。

26日発表予定の予算案とインフレ率が、ポンドの重しとなっている

 

 

  ポンドは年初は堅調なスタートを切ったものの、この数カ月間は主要通貨に対し下落を続けている。貿易加重ベースでの強さを示す指標は、最近1月以来の最低水準を記録した。

  この下落は、英国が企業投資の低迷、失業率の上昇、成長の鈍化に苦しんでいることに起因している。11日に発表された9月までの3カ月の失業率が、パンデミック以来の水準に上昇したことを受け、ポンドは対ドルで0.4%下落し、1.3125ドルとなった。

  リーブス氏は、日々の支出を税収で賄うことを求める現政権の財政ルールを順守しようとしているが、良い選択肢はほとんど残されていない。

  スタンダード銀行のストラテジスト、スティーブン・バロー氏は、ポンドの回復は、予想を下回る成長により、経済に悪影響を与える財政政策の引き締めを政府がせざるを得ないという、長年にわたる「悪循環」をリーブス氏が断ち切れるかどうかにかかっていると指摘した。

  その実現には、支出削減や増税に頼ることなく、将来の経済悪化を乗り切るのに十分な財政的余地を作る必要がある。

  予算案発表に先立ち、リーブス氏が先週、英国民に向けて「私たち一人ひとりが自分の役割を果たさなければならない」と増税を示唆する異例の声明を発表したことを受け、ポンドは対ドルで7カ月ぶりの安値まで下落した。

  バロー氏は「ある意味で今月の予算案が厳しく、余裕が大きいほど、ポンドは上昇するはずだ」と述べた。ただし、こうした動きは、厳しい予算案が「成果を上げられるとが明らかな場合にのみ」実現し、相当の時間がかかる可能性があるとしている。

インフレ率も影響

  アリアンツ・グローバル・インベスターズの上級ポートフォリオ・マネジャー、ランジブ・マン氏は、物価も短期的なポンドの見通しを複雑にしていると指摘する。

  英国の消費者物価上昇率は9月時点で3.8%と、イングランド銀行の目標のほぼ2倍に達している。根強いインフレがさらに続けば、イングランド銀行は金利を長く据え置かざるを得なくなる。その結果、他市場に対する利回りの優位性が維持され、ポンドの一定程度の下支えとなる可能性がある。

  ただし、マン氏は、英経済の低迷する成長率や今後の財政引き締めを踏まえ、ポンドの長期的な見通しについては悲観的な姿勢を維持している。同氏は、英労働市場の弱さを示すさらなるデータが出てくれば、利下げ圧力が強まり、ポンドのさらなる下押し要因になるとみている。

  予算発表を前に市場全体で利益確定売りが進むことで、ポンドが一時的に押し上げられる可能性もある。BNPパリバのストラテジストも先週、豪ドルに対するポンドの上昇に賭けるポジションを取るよう顧客に推奨した。予想やうわさで買い、実際の発表や事実で売るという市場の典型的な動きの反動で、ポンドが上昇するリスクがあるためだ。

原題:UK Budget Bodes Poorly for the Pound No Matter What(抜粋)

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