ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2025.11.07 15:20
大統領の承認が出ると、一瀉千里に進行した。8カ月後の12月31日、国会で「国民年金法」が通過した。施行は88年1月からだった。初期は10人以上の事業場の勤労者が加入対象だった。全国民の年金時代は99年からだ。国民年金の導入から37年が経過したが、解決するべき問題は山積している。十数年間にわたり議論されている基金枯渇問題、世代間の公平性などの課題だ。高成長時代の朴正熙政権当時に設計した骨格を10年以上経過しても改めずそのまま維持したからだ。
当初は「少しだけ出して多く受ける」という形だった。88年当時の所得代替率(受ける金額)は70%、保険料率(出す金額)は3%にすぎなかった。その後は5年ごとに3%ポイントずつ上がり、98年に9%になるようにした。加入者が出した総額と利子を合わせたものよりはるかに多くの金額を受けることになっていた。加入者の立場で保険料率引き上げは人気がない政策にならざるを得ない。政界は長い間、保険料率引き上げに消極的だった。
90年代半ばから低成長・少子化・平均寿命増加の問題が台頭し、年金制度の持続可能性に対する懸念が提起された。国民年金は大々的な手術が避けられなかった。98年と07年に年金改革が行われた。金大中(キム・デジュン)政権は所得代替率を70%から60%に下げ、年金受給年齢を60歳から65歳に遅らせた。その後も年金財政不安イシューは絶えなかった。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権は保険料率をそのまま(9%)維持するものの所得代替率は毎年0.5%ポイントずつ低めて2028年までに40%にする段階的下方修正を決めた。2回の改革にもかかわらず基金の枯渇に対する懸念、所得代替率に対する不満が重なり、論争は続いた。政府は加入者が嫌う保険料率引き上げは1%ポイントもせず17年を送った。
そして今年3月20日、新しい国民年金改編案(2026年1月1日から施行)が国会を通過した。保険料率を現行の9%から2033年まで8年かけて13%に引き上げ、2028年に40%に下がる予定だった所得代替率を2026年から43%に引き上げるというのが骨子だ。折衝を試みたのだ。すなわち「もう少し出して、もう少し受ける」ということだ。
◆年金改革を強行したシュレーダー首相
保険料率は引き上げたが、年金枯渇など根本的な問題が解決したのではないとの批判は相変わらずだ。特に青年世代と未来世代の負担を高めたという側面で改革でない改悪という指摘もある。国会予算政策処の推定によると、国民年金未積立負債金(2095年まで出す金額と現在積立金でも年金を支給するのに不足する金額)は1820兆ウォンにのぼる。支給する金額より積立金が大きく不足する。
根本的な解決のためには自動調整装置の導入を検討する必要がある。出生率、平均寿命、経済成長率の変化に基づき年金給与額が自動で調整される方式だ。すでに経済協力開発機構(OECD)加盟国の70%がこの制度を導入している。今回の年金改革議論の過程でも争点の一つだったが、導入には失敗した。鄭銀敬(チョン・ウンギョン)保健福祉部長官は先月の国政監査で「(自動調整装置の導入について)検討が必要」と述べた。
スウェーデンに続いて2004年に自動調整装置を導入して年金改革に成功したドイツのケースに注目する必要がある。当時、シュレーダー首相が率いていた社民党内閣は年金財政の安定化のために人口構造と労働市場状況を反映して年金制度を改革した。労働者を中心に反対が激しかった。経済専門家委員会の議長として年金改革の産婆の役割をしたベルト・リロプ氏は国民をこのように説得した。
「特定の世代が他の世代に比べてはるかに損害を受けることを最小化する方向で改革目標を定めなければいけない。そうしてこそ世代間の公平性に対する共感の形成が可能になる」。
持続可能な国民年金の改革は世代間の葛藤を減らして国民統合に進む近道になるという意味だ。
ユン・ソクミョン/韓国保健社会研究院名誉研究委員
<創刊企画「大韓民国トリガー60」㊼>「経済が崩れる」という全斗煥の心を変えた…国民年金の紆余曲折(1)

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