11月8、9日に特別公開

2025/11/07 22:02

「ゾンビランドサガ」ファンの聖地で、保存修理事業が進む唐津市歴史民俗資料館=唐津市海岸通

保存修理事業が進む唐津市歴史民俗資料館の海側のベランダ。アニメによく出てくる場所で、老朽化で扉の開閉が難しく、特別公開では入れない

保存修理事業が進む唐津市歴史民俗資料館のの外壁。板材は当初のものがそのまま使用されていると考えられるが、当初の色は特定できていないという

保存修理事業が進む唐津市歴史民俗資料館の屋根。傷みが激しく、雨漏りも

保存修理事業が進む唐津市歴史民俗資料館の屋根。傷みが激しく、雨漏りも

 劇場版が公開中のアニメ「ゾンビランドサガ」の聖地として知られる唐津市歴史民俗資料館(旧三菱合資会社唐津支店本館)。長く休眠状態で、現在は市が保存修理事業を進めている。この洋館をモデルとした作中の屋敷は2度も大破し、そのたびに再建の様子も描かれ、現実とフィクションが重なる。8、9日に近代化遺産全国一斉公開に合わせた特別公開があり、修理方針なども紹介される。

 同市海岸通にある同館は1908(明治41)年に建設され、石炭の積み出し港で繁栄した唐津港のシンボル的な木造建築で、優美な姿から「三菱御殿」とも呼ばれた。戦後は唐津海上保安部、同資料館として活用。傷みが激しく、2003年から休館となっている。

 市は22年度から保存修理事業に入った。現在は県重要文化財で、国の重要文化財への指定を見据える。建築当初の図面を持つ三菱地所設計が基本設計を行った。解体調査の結果、「外側からは随分傷んで見えるが、中の柱などはしっかりしていた。予想以上に古い部材が残っている」(市生涯学習文化財課)という。

 屋根材は現在の人工物と違って天然スレートを使用し、外壁の下見板張りの板材は当初のものがそのまま使われているのが分かってきた。ただ、当初の外壁の色は特定できていない。

 アニメでは、生き返った少女たちの住居になっている。都市部から少し離れた場所にあり、ゾンビの正体を隠しながらアイドルになる物語に符合することからモデルに採用。放送開始以来、ファンが訪れている。21年のアニメ第2期放送は水害で破壊され、映画でも大破し、そのたびに“復活”が描かれている。

 工事に関心を寄せるファンは多い。調査用の足場を勘違いして「工事が始まった」とSNS(交流サイト)で拡散されたこともあるという。市は24年度までにクラウドファンディングを3回実施し、計約516万円を敷地測量などの経費に活用。現在も26年1月まで実施している。

 同課の米倉美和子文化財保護係長は、ファンの関心を「工事に追い風」と話し、「入り口がアニメでも興味を持って建物を見てもらう機会になってありがたい。100年以上経過した大きな木造建築をぜひ体感してほしい」と特別公開の参加を呼びかける。

 26年度に実施設計で、工事は27~30年度を予定。現時点で本体の修復費だけで約9億5千万円を見込む。活用案はこれからで、石炭産業や港湾史を伝える施設として公開することは決めている。(宮﨑勝)

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