掲載日
2025年11月5日
フランスの製造業が公共の議題として定着してから15年。11月6日から9日までパリで開催されるMIF Expo見本市は、改めて同国の衣料品・フットウェアの厚みを示す場となる。BHVでのSHEIN(シーイン)ブティック開業の翌日に開幕し、メイド・イン・フランスの関係者が市場の変動に以前ほど守られていないように見えるタイミングでの開催でもある。
Saint James
「これまで打撃を免れていたメイド・イン・フランス市場も、いまや攻勢を受けています」と、ノルマンディーを拠点とするブランドSaint James(セントジェームス)のCEO、リュック・レゼネカルは語り、フランスの政治的・経済的不安定がもたらす直接的な影響を指摘する。「工房の拡張を計画していますが、政策の不透明さと政治的判断のために棚上げしているのです」と同氏は述べる。
セヴェンヌに拠点を置くジュリアン・タフェリーは、地場製造が苦境にあるのは、長所よりも短所ばかりが語られがちだからだと見る。「フランス製しか買わない顧客は人口の2%にすぎません。この比率は伸びていると思いますが、粗悪な衣料を買う人の驚異的な増加に押しつぶされています」と、ジーンズブランド、アトリエ・タフェリーの代表は嘆く。
シャマテックス・グループ傘下でアルデッシュに拠点を置くフットウェアブランドEctor(エクター)のディレクター、パトリック・メングネにとって、問題はウルトラ・ファストファッションにとどまらない。「9月にスーパーマーケットで4.99ユーロのスニーカーを見ました。あれは私たちの靴底と同じ価格です。たとえアジアで調達しても、輸送、店頭陳列、保管……まで考えれば、その価格では販売できません。この水準を前にすれば、価格ではもはや戦えません。1足120ユーロかかると説明しても、多くの消費者には耳を貸してもらえないのです」と語る。
「本当に問うべきは、私たちは受動的な消費者の国でありたいのか、それとも責任ある生産者の国でありたいのか、ということです」と、MIF Expo創設者のファビエンヌ・ドラエイはプレスリリースで述べ、2020年にエリゼ宮が掲げた「産業主権」の誓いを想起させる。
価格は忘れ、長持ちを選ぶ
200人の従業員と7,000万ユーロの売上高を持つ、創業から1世紀を超える企業を率いるリュック・レゼネカルは、低品質な製品の氾濫、スタイルの画一化、そして1年以内に捨てられる商品の短命化に強い危機感を抱く。「私たちは価格では決して競争できません。価格を半分にすれば何とかなると思う人もいますが、実際には10分の1にしなければ差は出ません。メイド・イン・フランスの強みは品質にあり、長年の使用に均してコストを回収できる点にあります。一方、ファストファッションは2回の洗濯にも耐えないでしょう」と語る。
Atelier Tuffery
従業員42人の家族経営で、現在520万ユーロの売上高を上げるジュリアン・タフェリーも同意見だ。「量と低価格をめぐるこの戦いは、もはや勝ち目がなく、おそらく永遠にそうでしょう。ですが、私はこの凡庸さこそが、最終的に私たちの勝利につながると考えています。この巨大な機械が大きく醜くなればなるほど、別の道が開けるのです」。
パトリック・メングネによれば、ここ数年に比べて原産地に着目する消費者は減っている。「メイド・イン・フランスは購入動機として作用するものの、第一の決め手ではありません」。大手ブランドの生産を手がけた後、2017年に自社ブランドを立ち上げ、年間8,000足のスニーカーを製造している同氏は続ける。「MIF Expoではそれがはっきり見て取れます。人々が足を止めるのは、何よりもまず見た目と履き心地です。私たちだって店に入れば、まず自分の好みの製品に目が行きます。フランス製には品質のイメージも結びついています。そこだけは決して期待を裏切ってはならない。そうしてこそ、顧客のロイヤルティを築けるのです」。
素材と製造業者
フランスで生産するとなると、地場素材の選択肢が限られている現実にすぐ直面する。アトリエ・タフェリーはコットンに加え、ウールを30%使用し、さらにリネンや地元産のヘンプも取り入れている。「少し離れたところなら4分の1の価格で手に入る素材に、私たちは非常に高い価格を払っています。それでも堅牢なサプライチェーンを築くには、そうせざるを得ません」とジュリアン・タフェリーは説明する。「そして、この経済局面が――一部の人々にとって痛みを伴うものであっても――過去10年の努力を無にしないことを願っています」。
Ector
Saint Jamesは、自社生産の70%をフランス国内で行い(残りはポルトガル)、最後のプレミアムブランドであることを自負し、ウールやコットンといった天然素材から逸脱しないよう細心の注意を払っている。「2026年春には、初のリネン製ブルトンシャツを発売します」とCEOは明かし、その糸はノルマンディーの「French Filature(フレンチ・フィラチュール)」から供給されることを誇らしげに付け加えた。
「フットウェアでは、メーカーの数が年々減っています」とエクターの責任者は強調する。「ヨーロッパ域内には最大で3倍にも及ぶ価格差があり、市場を大きく不安定化させています。多くのフランス人デザイナーがフランスでの生産を望みながら、設備の整った工場があるスペインやポルトガルに向かわざるを得ません。フランスでは老朽化、時にはほとんど時代遅れの設備が中心なのです」。
抑制された成長
取材した業界関係者は一致して、メイド・イン・フランスの潮流を追い過ぎれば手痛いしっぺ返しを受けかねないと語る。「私たちは常にブレーキを踏んでおり、大量の引き合いは断っています」とジュリアン・タフェリーは言う。「私の本当の職業上の成功は30年後、私がバトンを渡すときに測られるでしょう。けれど、物事をきちんとやりながら、量・低価格・あらゆる場所での販売・CSRの達成・そして急成長を同時に実現するのは、私には解けない方程式で、しかも解けないと思います」。
Saint JamesはMIF Expoで蛍光色のウェア「Phospho」コレクションを発表 – Saint James
1889年創業の歴史を持つSaint Jamesは、過去12年間で60%の成長を遂げながらも、拙速な拡大を避けている。「成長率は年5%に抑えています。生産設備が追いつかなければならないからです」と同社CEOは語り、ここ3年ほどで約100台の編機の近代化に投資していると明かす。「そして、ブレグジットのようなショックや米国の関税がいつ発生するかわからないため、輸出市場のバランスも保つ必要があります」。
フランスのファッションはメゾンを通じて世界で輝く一方、地場メーカーの製品が海外の顧客や流通に同等の存在感を放っているとは言い難い。「私は日本から戻ったばかりですが、フランス製かイタリア製かは彼らにとって大差ありません。身の丈を思い知らされます」とジュリアン・タフェリーは微笑む。パトリック・メングネはこれにこう補足する。「海外では、メイド・イン・フランスであっても、ヘリテージが伝わるものであれば魅力があります。私たちのブルトンシャツや水兵のジャンパーがその好例です」。
研修と公共調達
地場生産の課題は、2000年代のオフショアリング以降、希少になった技能の課題と表裏一体だ。アトリエ・タフェリーからEctor、Saint Jamesにいたるまで、この難題には社内研修で向き合っている。Saint Jamesでは、一つの職種に就けるようになるまで18~24カ月の育成期間が必要で、アトリエ・タフェリーは従業員の多能工化と、往年の工場のイメージを断ち切る快適な生産環境づくりに力を入れている。
Ector
「研修を終えて入社してくる人たちは基礎知識を備えているので助かりますが、何より重要なのは、その仕事をやりたいという意欲です」とパトリック・メングネは説明する。「学生が工房で過ごす時間は短く、産業の側面についての視野も限られています。だからこそ、私たちは社内で時間をかけて育てなければなりません。これなくしてフランスでの製造はあり得ません」。
研修と同様に、公共調達もまたメイド・イン・フランスの議論と切り離せない。「米国では、契約の50%がアメリカのメーカーに留保されています。ですから、フランスでも公共調達がメイド・イン・フランスを優先すべきです」と、売上の5%を軍向けで生み出しているリュック・レゼネカルは語る。「リショアリングを支援するだけでなく、私たちのように一度もオフショアしたことのない企業をまず評価・優遇するところから始めるべきです」。

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