昨年の戦いを通して、チームのキーワードになった『熱量』。
それらを漲らせた戦いの数々は、勝ちへの執着として表現され、スタジアムの熱狂を生んだ。
今シーズンのWE ARE GAMBA OSAKAは、その『熱量』の裏で、選手それぞれが宿すスピリットにスポットをあてる。彼らの魂は、熱意、勇気、決意は、どんな力を今シーズンのチームに与えてくれるのだろうか。
                                    
                                         名和田我空にとってのプロ1年目は悔しさ募るシーズンになった。神村学園高等部時代から“超高校級選手”と注目を集め、鳴物入りでガンバに加入したものの、ここまでのJ1リーグへの出場は、初先発した開幕戦を含めて3試合。他大会もルヴァンカップには2試合に先発したものの、天皇杯やAFCチャンピオンズリーグ2に関しては今のところピッチに立てていない。
「高校時代までの僕は、試合に出るためにどうしようか、ではなく、試合に出た上でその反省をもとに次の試合でどういうプレーをすればいいのか、を考えてきたと思えば、こんなにも試合に出たい、という思いを募らせたシーズンは初めてでした」
 また、U-20日本代表からも漏れ、直近の目標に定めていたFIFA U-20ワールドカップチリ2025への出場も叶わなかった。それらを踏まえ、特にこの半年は「自分は何をしているんだ?」という自問自答の中で進んできたという。
「正直、僕なりにいろんなことを感じながら、取り組んできたことも色々とありますけど、試合に出なければ、どこが成長しているのか、本当の意味で何ができて、何が足りないのかの答え合わせもできない。試合での成功体験を得ないと、本当の自信もつかめないですしね。そのチャンスを自分で掴み取れなかった、監督の信頼を得られなかったという意味では自分の不甲斐なさを突きつけられたし、試合に出たいという思いをマックスまで強く募らせた1年になりました」
 ただし、それを名和田は『挫折』とは考えていない。というより、今はそんなことでダメージを受けている暇はないというべきか。
「もしかしたら、何年後かに『ああ、あの時はやっぱり苦しかったな』と思うかも知れないけど、今はそうは思っていません。19歳で今年、試合に出られなかったくらいでメンタルに打撃を受けている場合じゃないし、それなら、この先、どうやって進んでいくのかを考えることに気持ちを向けた方がいいに決まっている。だからこそ、試合に出られていない、信用を掴めるほどの結果を残せていない、という現実をしっかり受け止めて、次に来るチャンスでしっかりと何かを掴めるようにしたい。いろんな先輩から声を掛けてもらっている『やり続けろ』という言葉の通り、やり続けるしか先はないと思っています」
 そのために、リマインドしているのは「自分の特徴で勝負する」ということ。それは、今シーズンの戦いを通して改めてその胸に強く宿したスピリットでもある。
「この1年を戦ってきて再確認したのは、フィニッシュだとか、ゴール前でのアシスト、得点に関わるプレーができないと、結局は評価につながらないということ。そもそも僕が目指しているのは、どんなに調子が悪くてもアシストなり、ゴールなり『結局は、仕事をするよな』という選手だと考えても、攻撃の作りのところで仕事をするだけではなく、そこから点に絡む、点を取りにいくという自分の特徴は、見失わないようにしたいと思っています。というか、一時期、パスに逃げてしまう選択が多くなってしまっていた中で、周りのコーチングスタッフや先輩選手にも『前を向く回数やシュートを打つ回数が減っているぞ』と指摘されて、そこを失ったら終わりだとリマインドしたというか。この世界で生き残っていくために、自分は何を武器にして、どこで差をつけられる選手になりたいのかを考えても、得点に関わるプレーができないと話にならない。だからこそ、今は改めてそこを自分の軸に据えて、強く自分に求めています」
 その姿を追い求める先に、何よりも欲している公式戦への出場と『結果』があると信じて。
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高村美砂●文 text by Takamura Misa
                                    
						
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