注目される空港アクセス鉄道やJR豊肥線の整備について、熊本県とJR九州が「上下分離方式」や「輸送力強化」に向けて合意しました。
■熊本県・木村敬知事
「空港アクセス鉄道の整備と豊肥本線の輸送力強化について、前向きかつ真剣な協議を重ね、共に取り組んでいきましょうという大筋合意に至りました」
31日に開かれたのは県とJR九州の共同記者会見。両者はJR肥後大津駅と熊本空港を結ぶ空港アクセス鉄道の整備のほか、アクセス鉄道と接続するJR豊肥線の輸送力強化についても計画を進めています。アクセス鉄道について、「上下分離方式」を採用することで合意したと発表。上にあたる鉄道をJRが運行、下にあたる線路や駅舎の管理を県が担います。またJR豊肥線については。
■JR九州・古宮洋二社長
「空港に行かれるお客様の時間も非常に大切だということで」
快速列車を導入することを改めて表明。さらに線路を整備するなどして、輸送可能人員の増加や利便性の向上につなげる考えを示しました。
■JR九州・古宮洋二社長
「一部途中の駅の行き違い化や同時進入、設備上、衝突防止の意味も込めて同時に入れないので、同時進入できることによって数分の短縮を図れる」
JR豊肥線の輸送力強化に必要な事業費は約60億円を見込んでいます。
【スタジオ】
(緒方太郎キャスター)
JR豊肥線ですが、ピーク時にあたる朝の混雑率は121%。都市圏並みの高さとなっています。アクセス鉄道の開通でさらなる悪化も心配なので、輸送力強化は重要な課題です。
そこで、計画されているのが「行き違い化」と「同時進入」です。まず、行き違い化は熊本市の東海学園前駅で検討されています。現在は線路が1本しかないため、駅で上下列車の行き違いができません。線路を増やすことで上下列車の行違いを可能にする計画です。
続いて、武蔵塚駅と原水駅で検討されている同時進入ですが、現在は列車がホームを行き過ぎた場合、別の列車と正面衝突する危険性があります。「安全側線」と呼ばれる別の線路を整備することで衝突を回避することができます。
この「行き違い化」や「同時進入」により、ダイヤの間隔を詰めることができるため、時間の短縮につながるとされています。公共交通の利便性が高まり利用者が増えることで、渋滞問題の解消にもつながることが期待されます。

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