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2025年10月31日 10:22
更新 41分前
イギリス王室は30日、国王チャールズ3世の弟、アンドリュー王子が「王子」の称号を失い、ロンドン近郊ウィンザー城の敷地内にある王家の公邸「ロイヤル・ロッジ」の住まいを離れることになると発表した。アンドリュー氏は今後は「アンドリュー・マウントバッテン・ウィンザー」として知られることになる。
アンドリュー氏は今後、イングランド西岸サンドリンガムの王邸敷地内にあり、チャールズ国王が私費で維持しているとされる住居に移ることになるとみられる。
王室によると、アンドリュー氏はロイヤル・ロッジ退去に同意したという。また、自分の称号を剥奪(はくだつ)するという兄チャールズ国王の決定には、異議を唱えなかったとされている。
アンドリュー氏の娘ユージェニー王女とベアトリス王女は、「王女」の称号を使い続ける。アンドリュー氏が王位継承権8位にあることは変わらない。
アンドリュー氏は今月、児童性的虐待で有罪判決を受けた米資産家ジェフリー・エプスティーン元被告(故人)との関係など、私生活に関するさまざまな疑惑が改めて浮き彫りになった事態を受け、「ヨーク公爵」を含むその他の称号を放棄していた。
アンドリュー氏は一貫して、自分に対する疑惑を否定している。一方、アンドリュー氏のさまざまな判断に深刻な問題があったと王室が判断したことから、今回の決定に至ったとされている。
元妻のサラ・ファーガソン氏もロイヤル・ロッジを退去し、住む場所を自分自身で手配することになるとみられる。ファーガソン氏は、アンドリュー氏が「ヨーク公爵」の称号を返上するまで「ヨーク公爵夫人」の称号を使い続けていたが、その後は結婚前の「ファーガソン」の姓を使っていた。

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画像説明, アンドリュー氏は2004年から、ウィンザー城敷地内にあるロイヤル・ロッジで暮らしていた
国王の発表
国王夫妻をはじめ王室の公務を管理するバッキンガム宮殿は、次の声明を発表した。
「国王陛下は本日、アンドリュー王子の肩書、称号、勲位を剥奪する正式な手続きを開始した。
アンドリュー王子は今後、『アンドリュー・マウントバッテン・ウィンザー』として知られることになる。
彼はこれまで、賃貸契約に伴う法的保護によってロイヤル・ロッジに居住し続けていた。
これについて賃借権を放棄するよう正式な通告が行われ、彼は代替の私宅へ移ることになる。
本人は自分に対する疑惑を否定し続けている。しかし、彼を非難するためのこうした措置は、必要なものと考えられている。
国王・王妃両陛下は、あらゆる形の虐待の被害者および生存者に対して、これまでも、そして今後も、最大限の思いと深い共感を寄せていると明示することを希望している」
「国王にとって大きな一歩」と英文化相
アンドリュー氏の称号剥奪について、王室は政府と協議していたものとされる。政府は、王室の決定を支持する姿勢を明示した。
BBC番組「クエスチョン・タイム」の収録中に王室の決定が明らかになると、出演していたリサ・ナンディー文化相は、「グルーミング(被害者を性的に手なずけること)や性犯罪の被害者に対して非常に強いメッセージを送るものだ」と述べた。
「これは大きな進展で、国王にとって大きな一歩だ。率直な第一印象として言わせてもらえば、私は国王のこの措置を本当に支持する」とナンディー氏は称賛した。
「王子を失墜させた」とジュフリー氏の家族

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画像説明, 10代の時の自分の写真を手にするジュフリー氏
ジュフリー氏は、エプスティーン元被告と、共犯者のギレイン・マックスウェル受刑者からの被害について、最も積極的に公に発言していた一人だった。17歳だった2001年に、2人によってアンドリュー氏に売られ、マックスウェル受刑者のロンドンの自宅で性行為をさせられたと表明。今月出版された回顧録などで、ロンドンでのこの時を含めて計3回、アンドリュー氏との性行為を強制されたと主張していた。
王室の今回の発表を受けてジュフリー氏の家族は声明を発表。「今日、普通のアメリカ人家庭の普通のアメリカ人の少女が、自分の真実とたぐいまれなる勇気によって、イギリスの王子を失墜させた」と述べた。
「私たちの妹、ヴァージニア・ロバーツ・ジュフリーは、アンドリューから性的暴行を受けた当時は子どもだったが、自分自身に起きたこと、そして彼女のような無数の生存者たちに起きたことについて、責任追及の闘いを決してやめなかった」
「彼女は今日、勝利を宣言する。私たち家族は、性被害のサバイバーの姉妹たちと共に、今後もヴァージニアの闘いを続け、ジェフリー・エプスティーンおよびギレイン・マックスウェルに関係するすべての加害者と加担者が同じように責任をとらされるまで、決して休まない」
 
						
			
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