パナソニックHD、26年3月期の純利益予想を下方修正 市場予想下回る

 10月30日 パナソニックホールディングスは30日、2026年3月期通期の連結純利益(国際会計基準)予想を従来の3100億円から2600億円(前年比29%減)に下方修正すると発表した。写真はパナソニックのロゴ。2017年10月、千葉・幕張メッセで撮影(2025年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 30日 ロイター] – パナソニックホールディングス(6752.T), opens new tabは30日、2026年3月期通期の連結純利益(国際会計基準)予想を前年比29%減の2600億円(従来3100億円)へ下方修正した。米国の電気自動車(EV)市況減速の影響で、車載電池の販売数量などが当初想定より減少。米関税の影響が見込まれることや、グループ経営の構造改革費用が当初想定より増える見通しとなったことを織り込んだ。

IBESがまとめたアナリスト15人の純利益予想の平均値3074億円を下回った。

米カンザス州の車載用円筒型リチウムイオン電池の新工場は、量産開始が今年7月にずれ込み、生産能力が計画に及ばない見込み。生産開始後の立ち上がりは順調で、新製品への引き合いは強いという。

一方、生成AI(人工知能)関連事業は、サーバー向けの電子デバイスや電子材料などのインダストリー事業と、蓄電システムのエナジー事業が好調で、業績見通しを上方修正した。

関税の影響は新たに300億円を織り込んだ。下方修正後の連結売上高に対する割合は0.4%。5月の期初時点では1%未満と想定していたが、価格転嫁などで想定を下回る水準に収まる見込みとした。

構造改革は、人員の適正化や拠点統廃合などで費用1500億円を織り込んだ。5月に連結対象会社の社員1万人規模を削減すると発表し、費用として1300億円を見込んでいたが、200億円上積みした もっと見る 。テレビ事業については「抜本的なオペレーション改革で『課題事業』脱却にめどがついた」とした。日米両政府は28日、9月の覚書で合意した5500億ドル(約83兆円)の対米投融資の対象になり得る21案件を発表し、パナソニックを含む両国の企業20社以上が関心を寄せているとした もっと見る 。パナソニックは「AIインフラの強化」の項目でエネルギー貯蔵システムや電子機器供給、米国でのサプライチェーン(供給網)強化で最大150億ドル(約2兆2600億円)と記載されている。

楠見雄規社長は決算会見で「(全体で)どのようなデータセンター投資が行われるのかはまだクリアではないが、機会をいただけるなら積極的に検討していきたいと考えてサインした」と説明。「われわれがどれくらいの増産投資をしなければならないのかもまだ分からないが、設備投資もあり得ると理解している」と語った。「ハイパースケーラー(膨大なサーバーを所有する企業)が持っているデータセンターをはるかに超える規模である可能性があるのではないかと推測している」とも述べた。

同時に発表した25年3月期中間期(4─9月期)の連結純利益は同24.6%減の1424億円だった。家電は国内シェア向上で堅調だったものの、アジア・インドなどで需要が減少した。空調はヒートポンプ式温水暖房機が増収だった一方、海外でルームエアコンの需要が低迷した。

昨年末に車載部品を手掛ける子会社オートモーティブシステムズを非連結化した影響で、売上高は3兆8204億円と同10.1%減少した。

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