2025年F1第20戦メキシコGP予選で、選手権リーダーのオスカー・ピアストリ(マクラーレン)が衝撃的な8番手に沈んだ。上位10台がスタートポジションのままレースを終えれば、首位陥落という危機的状況だ。
ポールポジションを獲得したチームメイト、ランド・ノリスから0.588秒もの大差をつけられる悪夢の結果に、ピアストリは「感触は問題ないのにタイムが出ない」と困惑。一方、チーム代表のアンドレア・ステラは「異例の差」であるとし、その背景にあるドライビングスタイルの違いを指摘した。
衝撃の0.6秒差「異例の事態」とステラ
今季を通じてピアストリとノリスは、グリッド上で最も拮抗したチームメイト同士として知られてきた。「我々のドライバー達は、予選では常に100分の数秒差で、レースでは数cmの差で競い合ってきた」とステラは語る。
だからこそ、ノリスがポールポジションを獲得した一方、ピアストリが0.6秒遅れの8番手にとどまった事実は、ステラにとって「異例」だった。カルロス・サインツ(ウィリアムズ)が5グリッド降格ペナルティを受けるため、決勝は7番手スタートとなるが、それでもチームメイトとは6グリッドもの差が開くことになった。
ピアストリ、”感覚との乖離”に困惑
Q1、Q2と敗退の危機に瀕しながらも、なんとかQ3に進出したピアストリはセッション後、「走りの感触とタイムの乖離」に戸惑いを隠さなかった。
「厳しかった」とピアストリは振り返る。「肝心なラップでは、それなりに悪くない走りができたと思う。でも、タイムが思ったほど出なかった。それが一番の問題だった」
セッション中にはパワーユニットへの懸念を無線で報告する場面もあったが、「1箇所のコーナーで少し出力が落ちただけで、継続的なものじゃなかった」とし、大きな影響はなかったと説明した。
「足りなかったのは単純にラップタイムだ。感触としては普通だった。ここは標高が高く空気が薄いから、クルマの感触が最高に良くなることはないし、全体的には特に問題なかった。でも、兎に角、タイムが伸びなかった。正直、フラストレーションの溜まるセッションだった」
Courtesy Of McLaren
マクラーレンMCL39をドライブするランド・ノリス(マクラーレン)、2025年10月25日(土) F1メキシコGP予選(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)
ステラが語る“スタイルの差”と高地の罠
この「異例の差」が生まれた原因についてステラは、標高2,200m超の高地特有の「低グリップコンディション」にあると分析する。
「オースティン(前戦アメリカGP)とここメキシコは、クルマが酷く横滑りする条件が揃っていると思う」とステラ。エルマノス・ロドリゲス・サーキットは空気密度が低く、それによってダウンフォースが激減。マシンが滑りやすい特殊な環境を生み出す。
「こうした状況では、クルマに対する深い理解や、クルマをどう使いこなすべきかという成熟度が求められる。そしてこれはおそらく、オスカーが引き続き磨くべき部分だ」
ステラによれば、ピアストリは「グリップを活かして、ある特定のスタイルでクルマを攻めるタイプ」だという。そのため、タイヤが摩耗しマシンが滑りやすくなるレースコンディションでも、ノリスに対して苦戦する傾向が見られるという。
「ここメキシコの予選も、ある意味そんな“レース的な状況”に近かった。そのためランドの強みが発揮されたのだと思う」
ただし、ステラはピアストリを悲観的に見てはいない。「忘れてはならないのは、オスカーがまだF1参戦3年目ということだ。そして彼は“光の速さで学ぶドライバー”だ。経験を積めば、必ず吸収して成長する」
対照的なノリスの「スペシャルラップ」
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記者会見で笑顔を見せるポールポジションのランド・ノリス(マクラーレン)、2025年10月25日(土) F1メキシコGP予選(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)
一方、ポールを獲得したノリスの走りは、ステラにとっても驚きだった。「間違いなくスペシャルなラップだった。彼自身もインラップで『どうしてあんなラップを走れたのか自分でも分からない』と言っていたくらいだ」と称賛する。
「ランドは週末を通して非常に力強かった。ここ数戦でやや迷いがあった我々チームにとっても、“最高のマシン”を再び用意できたという点で大きな意味がある」
選手権首位陥落の危機、正念場へ
ピアストリは、選手権のライバルであるフェルスタッペン(5番手)の後方、7番グリッドから決勝に挑む。
もし上位10台が順位を守ったままレースを終えれば、ノリスに5ポイント差をつけられ、チャンピオンシップ首位の座を明け渡す計算だ。さらにフェルスタッペンとの差も22ポイントにまで縮まる。
それでもピアストリは、静かな口調の奥に逆襲への闘志を見せる。
「いいスタートを決めて、できることをやるだけだ。ここはターン1までにロングストレートがあるからチャンスはある。うまく活かすつもりだよ」
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マクラーレンMCL39をドライブするランド・ノリス(マクラーレン)、2025年10月25日(土) F1メキシコGP予選(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)
2025年F1メキシコGP予選では、ランド・ノリス(マクラーレン)がポールポジションを獲得。2番手はシャルル・ルクレール、3番手はルイス・ハミルトンとフェラーリ勢が続く結果となった。
決勝レースは日本時間10月27日(日)29時にフォーメーションラップが開始され、1周4304mのエルマノス・ロドリゲス・サーキットを71周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。

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