保護者ら 希望のゴスペル 5日 珠洲・みさき小と三崎中文化祭 「自分たちが歌うことに意味ある」

ゴスペルを練習する保護者ら=珠洲市三崎中で

 珠洲市三崎町のみさき小学校と三崎中学校に通う児童生徒の保護者らが、11月に開かれる両校の文化祭「海鳴祭」のクライマックスでゴスペルを披露する。2023年5月に同市で最大震度6強を観測した地震からの復興を願って作られた曲。翌24年元日に起きた能登半島地震への思いを込め、精いっぱい歌う。(高橋信)

 「間違ってもいいからどんどん声出しましょう」。10月下旬、三崎中の音楽室に三盃(さんばい)邦子校長の声が響く。この日は、保護者や地域住民、教員など20人余りが参加。わきあいあいとした雰囲気が漂いつつも、一同の表情は真剣だ。参加者の坂谷明子さん(65)は「やっぱ楽しいですよね。地域の人との交流にもなるし」と笑顔を見せる。

 参加者が歌うのは、23年5月5日に発生した地震からの復興を願い作られた「Home〜Grace for all〜」。歌詞には能登の自然の素晴らしさや、人々に寄り添う思いがつづられている。発災から5カ月後に珠洲市で開かれたコンサートで聴いて心を動かされた三崎町の谷内幸さん(49)が、海鳴祭で歌いたいと提案した。

 谷内さんは「歌を通じて勇気づけられたり前を向いて生活していこうと思えたりするよう、地域の人や先生と歌いたいと思った。外部の人に歌ってもらうのではなく、被災した自分たちが歌うことに意味があるのではないか」と話す。被災地で生きる自分たちへのエール、地元を離れて暮らすかつての友人らへの「離れても一緒だよ」というメッセージ、支援してくれた人に元気でやっているという発信。さまざまな思いを込めての選曲だ。

 海鳴祭は11月5日、午前はみさき小、午後は三崎中で開かれる。ゴスペルは中学校で披露する。

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