2025年F1第20戦メキシコGPの決勝レース中、深刻な安全上の問題が発生した。リアム・ローソン(レーシング・ブルズ)が、コース上を横断する2名のマーシャルと危うく接触しかけるという衝撃的なインシデントが起き、国際自動車連盟(FIA)が調査を開始した。
この出来事は決勝3周目、破損したフロントウイング交換のためローソンが早期ピットストップを終えた直後に発生。ターン1へと差し掛かったローソンの目前で、2名のマーシャルがレース中のコース上を横断した。
「おい、なんだよこれ!冗談だろ?今の見たか?マジかよ!」——ローソンは無線で激しく叫んだ。
これに対し、レースエンジニアのエルネスト・デジデリオは「ああ、見た。よく避けたな」と応じたが、ローソンの声には動揺が隠せなかった。
「マジでやばかった。あと少しで轢き殺してたかもしれない」

エルマノス・ロドリゲス・サーキットのターン1・2間のコース場を横切る2名のマーシャル、2025年10月26日F1メキシコGP:リアム・ローソン(レーシング・ブルズ)のオンボード映像
米スポーツ専門チャンネル『ESPN』によると、ローソンはレース後、次のように振り返った。
「正直、目の前で起きていることが信じられなかった。ピットで新品ハードに履き替えて出ていったら、ターン1で2人のマーシャルがコースを横切っていたんだ。その内の一人に危うくぶつかるところだった。本当に危なかった」
「何らかの連絡ミスがあったんだろうとは思うけど、こんなことは初めてだし、過去にも見たことがない。あってはならないことだ」
「どうしてレース中のコースをマーシャルが横断できたのか、全く理解できない」
FIAは声明を通じて、当時の状況を次のように説明した。
「3周目、マーシャルには待機指示が出されており、全車がターン1を通過した後にデブリ回収を行う予定だった。ローソンがピットインしたことが確認された段階で、出動指示は取り消され、そのセクターにはダブルイエローフラッグが掲示された。その後の経緯については現在調査中だ」
F1では2021年モナコGP、2022年エミリア・ロマーニャGPでも、マーシャルとのニアミスが問題視された過去がある。
ボランティアとしてレース運営を支えるマーシャルの安全を守るためにも、FIAには徹底した原因究明と再発防止策の実施が強く求められる。
2025年F1第20戦メキシコGPの決勝レースは、ランド・ノリス(マクラーレン)が圧巻のポール・トゥ・ウインを飾り、2位にシャルル・ルクレール(フェラーリ)、3位にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が続く結果となった。
インテルラゴス・サーキットを舞台とする次戦サンパウロGPは、11月7日のフリー走行1で幕を開ける。

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