日米、対米投融資の候補十数件を公表へ 三菱重など企業名も=関係者

  日米両政府が28日午前に始まった日米首脳会談に合わせ、関税合意に基づく5500億ドル(83兆円)の投融資候補となる案件を米国側に十数件示し、関連する企業名を盛り込んだファクトシートを公表する方向で調整していることがわかった。写真は三菱重工のロゴ。7月撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)

[東京 28日 ロイター] – 日米両政府が28日午前に始まった日米首脳会談に合わせ、関税合意に基づく5500億ドル(83兆円)の投融資候補となる案件を米国側に十数件示し、関連する企業名を盛り込んだファクトシートを公表する方向で調整していることがわかった。発電や自動車関連といった分野が候補に挙がり、三菱重工業(7011.T), opens new tabなどのほか、日本企業が出資する米国企業の社名が含まれる見通しだ。実際に投資として成立するか今後両国で協議し、最終的には米国が決定する。

事情を知る日本政府関係者が明らかにした。米国は特に三菱重工が絡む発電プロジェクトに関心を示しているという。他の案件も精査した上で年内にも第1号案件を選定したい考えだ。

同関係者は「具体的なプロジェクトの構築はこれからだが、現時点で米国への投融資に関心がある企業名と案件を示すことになる」と語った。9月の覚書に基づき、半導体、医薬品に加え、金属、重要鉱物、造船、エネルギー、AI(人工知能)・量子コンピューティングなどの分野を念頭にリストアップする。

企業の中には発電事業関連で三菱重工が含まれる見通し。そのほかにも多くの企業名が公表されるという。高市早苗首相やトランプ米大統領、両国実務者で最終確認し、ファクトシートとして公表する予定だ。日米両国は今後、これらの候補などを念頭に協議を進め、年内にも第1号案件を選定することも視野に入れる。

9月の日米関税合意は、自動車など日本の輸出品に対する関税を15%へ引き下げる一方、日本が米国に対して5500億ドルの投融資を実行するというもの。投融資は日本側の債権が完済されるまでは米側と現金収入を折半し、その後は日米が1対9の割合で配分する。

日本政府のコメントは現時点で得られていない。米国大使館にも問い合わせたが、回答を得られていない。三菱重工はコメントを控えた。

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鬼原民幸

2025年6月からロイターで記者をしています。それまでは朝日新聞で20年間、主に政治取材をしてきました。現在、マクロ経済の観点から日々の事象を読み解く「マクロスコープ」の取材チームに参加中。深い視点で読者のみなさまに有益な情報をお届けしながら、もちろんスクープも積極的に報じていきます。お互いをリスペクトするロイターの雰囲気が好き。趣味は子どもたち(男女の双子)と遊ぶことです。

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