昨年11月、ブラジルのリオデジャネイロで開催されたG20サミットに合わせて会談した習近平主席とスターマー首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ )

中国資本は39兆円近い英国企業・不動産を所有

[ロンドン発]中国側に情報を流していたとして公務機密法違反罪に問われた英保守党内の中国研究グループ事務局長ら2人の起訴を取り下げた英国が中国マネーの草刈り場になっている実態が英高級日曜紙サンデー・タイムズ(10月25日付)の調査報道で浮き彫りになった。

 それによると、中国資本は計442件1900億ポンド(約38兆6000億円)にのぼる英国の企業や不動産を買い漁っていた。2021年1340億ポンド(約27兆円)、23年1520億ポンド(約31兆円)と激増。難民申請者を収容する「難民ホテル」も3つ含まれている。

 中国国営観光企業傘下のキュー・グリーン・ホテルは英国で60超のホテルを経営。うちチェシャー、ケント両州のホテルが英内務省と難民受け入れ契約を結び、1500万ポンド(約31億円)の売上を計上した。上海市が保有するホテルも難民申請者を受け入れている。

 中国当局が保有する資産は513億ポンド(約10兆4000億円)にのぼり、資産価値の上昇や配当金を通じて習近平体制に大きな利益をもたらしている。国営企業の中国広核集団(CGN)はサマセット州沿岸のヒンクリー・ポイントC原発の27.4%(132億ポンド)を所有。

中国国営企業が出資するイギリスのヒンクリー・ポイントC原発の建設風景=2025年7月撮影(写真:ロイター/アフロ)

ギャラリーページへ

WACOCA: People, Life, Style.