韓国の李在明大統領は、同国の不動産市場がバブルの崩壊寸前にあると警告し、韓国銀行(中央銀行)が先週決定した政策金利の据え置きを支持した。
借入コストの低下が不動産価格の上昇を一段と加速させるとの懸念がある中、李氏は日本が数十年にわたり経験したような経済停滞を招く事態は避けなければならないと述べた。
ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで「韓国は非常に危険な潜在的危機、いわば時限爆弾の上に座っている。その正体は過剰な不動産投資だ」と指摘。「もし金利を引き下げれば、不動産価格を刺激しかねない。これはすでに問題になっている分野だ。韓国銀行が利下げではなく据え置きを選んだのは正しい判断だった」と語った。

韓国の李在明大統領がブルームバーグテレビジョンで語る
Source: Bloomberg
韓国中銀は23日、政策金利を据え置いた。住宅ブームの再燃が住宅ローン残高の増加を通じて金融の不均衡を招く恐れがあるとして、利下げを見送った。
李氏は、金利低下が不動産偏重の経済構造を一段とゆがめる恐れがあると警鐘を鳴らした。不動産は長年、投機家にとって好まれる投資対象で、その結果、天井知らずの価格上昇が一般家庭の住宅取得を困難にし、持ち家を購入できたとしても過剰な負債を抱える状況となっている。
ソウルのマンション価格は10月20日時点で38週連続上昇した。李政権が複数の不動産対策を講じてきたにもかかわらず、上昇基調は続いている。
李氏は、韓国が過去の日本と同じ道をたどりつつあると指摘し、住宅価格が世界でも突出して高水準にあると述べた。現状を放置すれば急激な調整が起きる可能性が高いとし、資金をより生産的な分野へ振り向ける必要性を強調した。
「この傾向が続けば、いずれバブルは崩壊する。その瞬間、経済だけでなく、あらゆる分野で深刻な危機に直面するだろう。それを必ず防がなければならない」と述べた。

日本では1980年代後半に資産バブルが崩壊し、世界最大の経済大国に迫る勢いだった成長が1990年代から2000年代にかけて停滞とデフレの象徴へと転じた。地価は10年以上下落し、株式市場の回復には30年以上を要した。
李氏は、韓国の経済課題は金利水準からではなく、財政の役割不足と国家政策の一貫性の欠如にあると指摘した。三つの要素のうち、最も重要なのは安定した経済政策の維持であり、それを支える財政政策が次に重要だと強調した。
また経済の再生と持続的成長の実現に向け、これまでの財政政策だけでは十分でない可能性があるとしつつも、人工知能(AI)などハイテク分野への資金供給拡大といった追加措置により、経済回復と長期的成長のための基盤を築けると述べた。
さらに、過剰な規制や資本市場の非効率を解消する政府の取り組みが成果を上げつつあると言及。資本が徐々に不動産からより生産的な金融資産へと移り始めていると語った。
韓国総合株価指数(KOSPI)を5000まで引き上げ、主要先進国の株価指標入りを目指すとの公約について問われると、期間を設定することはできないとした上で、法制度整備の継続、政策の信頼性、対外的な情報発信を通じて、韓国の成長見通しに対する国際投資家の信頼を高める必要があるとの見解を示した。
原題:South Korea Faces Property ‘Ticking Bomb’ as Lee Backs BOK Hold(抜粋)
— 取材協力 Katria Alampay and Andy Hung

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