ランド・ノリス(マクラーレン)は2025年F1第20戦メキシコGPで、今シーズン最も圧倒的な勝利を飾った。2位に30.374秒もの大差をつけてのトップチェッカーだった。だが、圧勝の余韻に包まれるスタジアムの一角からは、激しいブーイングが浴びせられた。それでもノリスは、それを笑って受け流した。
「ブーイングされると笑いが止まらない」
エルマノス・ロドリゲス・サーキットでの圧勝後、ノリスはブーイングについて問われ、独特のユーモアを交えて応じた。
「正直、みんなやりたいようにやればいいと思う。その権利はあるし、スポーツってそういうところもあるからね」
そして意外な言葉を続けた。
「理由は分からないけど、ブーイングされると笑いが止まらないんだ。むしろ楽しいくらい。だから、やりたいなら続けてもらって構わないよ」
もっとも、本音は別にある。
「もちろん、ブーイングされたいわけじゃない。応援してもらえる方が嬉しいよ。でもまあ、僕は自分のやるべきことに集中するだけ。モンツァのときも、似たようなことがあったしね」
Courtesy Of McLaren
決勝レース後のピットレーンでランド・ノリスの勝利を祝うマクラーレンのアンドレア・ステラ代表、オスカー・ピアストリらチームメンバー、2025年10月26日(日) F1メキシコGP(エルマノス・ロドリゲス・サーキット)
モンツァでのチームオーダー論争
地元メディアの記者によれば、メキシコでノリスがブーイングを受けた背景には、国内の一部ファンの中に「マクラーレン内でノリスが優遇されている」という認識があるという。特にイタリアGPでのチームオーダーをめぐる騒動が、その印象を強めているようだ。
イタリアGPではノリスにピット優先権があったものの、オスカー・ピアストリがシャルル・ルクレールに抜かれるリスクを避けるため、マクラーレンはピアストリを先にピットインさせた。
結果的に、その後ノリスはピット作業で左フロントの交換に手間取り、約2秒のロス。順位が入れ替わったことで、マクラーレンはチームオーダーを発動して2台の順位を入れ替えた。この一件は物議を醸した。
先程の記者の指摘についてノリスは、「そう思うなら、それも彼らの自由だよ。何を考えようと自由だ」と応じた。
「チームとしては、もちろん公平にやろうとしている。当時も言ったようにね。2年前のブブダペストでも同じことがあった。僕が勝てるレースだったけど、オスカーを前に行かせた。彼が勝つに値するレースだったからね」
「あれと何も変わらない。本質的には同じなんだ。ピットに入れる順番をチームが誤った、それだけの話さ」
他者への尊重と、揺るがぬ信念
ノリスは最後に、改めてファンやメディアの見方を尊重しつつ、自身の信念を貫く姿勢を見せた。
「正直、その分の3ポイントが欲しいなら、あげてもいい。誰にでも好きなように考える権利がある。ただ、オスカーが昨年のブダペストで勝利に値したように、僕はモンツァで前にいるに値した。シンプルな話だよ」
ハンガリーでは勝利を譲り、イタリアでは正当な順位を守った——ノリスの中には一貫した論理がある。そして、2位に30秒差をつける圧巻の勝利は、どんなブーイングよりも雄弁に彼の速さを証明していた。
2025年F1第20戦メキシコGPの決勝レースは、ランド・ノリス(マクラーレン)が圧巻のポール・トゥ・ウインを飾り、2位にシャルル・ルクレール(フェラーリ)、3位にマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が続く結果となった。
インテルラゴス・サーキットを舞台とする次戦サンパウロGPは、11月7日のフリー走行1で幕を開ける。

WACOCA: People, Life, Style.