(CNN) 中国の最新空母「福建」について、50年前の米海軍空母の約6割のペースでしか航空作戦を行えない可能性があることが分かった。空母での勤務経験を持つ元米軍将校2人が明らかにした。福建は中国海軍に革新を起こす艦艇となることが想定されているが、実戦面で大きな制約を抱えている。

福建は近く就役すると予想されている。元将校2人がCNNに語ったところによると、飛行甲板の配置が原因で艦載機の発着ペースが制限されており、特に米国のニミッツ級空母と比べると違いが顕著だという。

米空母2隻で勤務した経験持つ退役海軍大佐のカール・シュスター氏は、「福建の作戦能力はニミッツ級の約6割にすぎない」との見方を示した。

シュスター氏と元米海軍飛行士のキース・スチュワート退役少佐は今回、福建の飛行甲板を写した写真を検証。甲板の配置の影響で、艦載機の同時発着艦が制限されていると指摘した。

中国は福建の建造に当たり大きな一歩を踏み出し、電磁カタパルト式の航空機射出システムを採用した。艦載機はより重い兵装と燃料を搭載して発艦し、より遠い距離から敵目標を攻撃することが可能になる。これに匹敵するのは、米海軍で最新かつ最大の空母「ジェラルド・フォード」だけだ。

こうした飛行甲板の構成は、中国の空母では初となる。これより前の2隻「遼寧」と「山東」はスキージャンプ式の傾斜甲板を採用しており、航空機が自力で飛び上がる仕組みになっている。

新しいタイプの空母を一から設計したために、同時発着艦能力の制約につながった可能性がありそうだ。

福建の航空作戦能力の問題を最初に提起したのは、国営中央テレビ(CCTV)で中国軍に関する映像を見た中国人軍事ブロガーだった。このときの映像に、福建に関する特集が含まれていた。

中国の3隻目の空母「福建」の初の試験航海の様子=24年5月7日/Xinhua News Agency/Getty Images
中国の3隻目の空母「福建」の初の試験航海の様子=24年5月7日/Xinhua News Agency/Getty Images

このドキュメンタリーを視聴後、ブロガーは軍事評論ブログ「海事先鋒」で、「2本のカタパルトはいずれも着艦エリアの前部中央付近に位置していることから、J15やJ35(中国の艦載戦闘機)が着艦時にカタパルトの上を通過してしまい、一時的に発艦作業に使用できなくなる。このため、戦闘機の発艦効率に影響が出る」と指摘した。

この指摘を韓国紙の朝鮮日報が取り上げ、CNNは元米海軍将校の2人に報道内容と映像の検証を依頼した。

シュスター氏によると、福建の着艦エリアは甲板の中心線からわずか6度の角度で斜めに伸びている。これは米空母の9度に比べ狭く、着艦滑走路と甲板前方のカタパルト2基との間のスペースは限られているという。

シュスター氏はさらに、福建の着艦エリアはニミッツ級より長く、カタパルト補助発艦に備えて航空機が配置される艦首エリアに近接しすぎているとの見方も示した。

「着艦エリアの長さと甲板上の角度の狭さゆえに、帰還した航空機を再配置するためのスペースが少なくなっている」とシュスター氏は指摘する。

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