ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2025.10.23 15:29

◆「抽選世代は後輩ではない」同窓会も別に

女子学校の中でも京畿・昌徳(チャンドク)・淑明(スクミョン)・進明(ジンミョン)などの名門高が移転した。移転が決まった一部の学校では反発もあった。京畿高はもともと学校の敷地が狭く、反対が少なかった。しかし広い慶熙宮(キョンヒグン)の場所にあったソウル高は違った。名門高の地位を失うだけでなく、良い場所を捨てて移転することは受け入れられなかった。生徒たちは反対デモもした。名門高卒業者の間でも不満が生じた。抽選で入学した世代を後輩と考えない雰囲気が広まった。一部の学校では同窓会も別々にした。

抽選で生徒が配分され、景城(キョンソン)・大一(デイル)・徐羅伐(ソラボル)・信一(シンイル)・汝矣島(ヨイド)・宇信(ウシン)などが新興名門高に浮上した。高校平準化政策の施行と共に江南(カンナム)に移転した伝統名門高と新興名門高が競争する構図が形成された。「江南(カンナム)8学区」の神話もこの時に生まれ始めた。

高校入試競争は自然に大学入試競争に移った。中学校無試験は小学生を、高校平準化は中学生を入試地獄から解放した。しかし高校平準化以前より数倍も激しい大学入試競争が始まった。

50年前に始まった高校平準化政策は韓国社会に何を残したのだろうか。学校間の序列をなくして生徒間の違和感・差別を解消する役割をした。入試の負担緩和で中学校教育の正常化と学校施設の全般的な改善にも寄与した。過度な私教育による経済的負担を緩和する効果もあった。懸念された学力の下方平準化も予想より小さかった。成功した政策だったのは間違いない。半面、水準別・適性別教育課程を編成するうえで妨げになったという評価もある。人材の発掘と養成という側面でも不利という主張も繰り返し提起された。

高校平準化をめぐる存廃論争は現在も続いている。より良い教育政策のための活発な討論、問題提起は歓迎する。しかし国民所得が1000ドルにも達しない時代に始めた高校平準化政策を今の保守・進歩というどちらか一方の理念基準で裁断して判別するのはナンセンスだ。全国すべての地域、特に人口が減少する中・小都市地域まで高校平準化を一律的に適用するのが正しいのか問いただす必要がある。

李在明(イ・ジェミョン)政権は地方にもソウル大10個をつくると公約した。しかし地方に良い施設を建設しても優秀な資質の学生を該当地域の学生で十分に満たせるだろうか。高校平準化政策で、かつて多かった地方の中小都市の伝統的名門高校がほとんど消えた。地域の名門高校を再び育成しなければいけない。今のままなら「新しいソウル大」が地方にできても首都圏の学生が占める可能性が高い。地域にも優秀な学生が多数残ってこそソウル大10個をつくる公約が可能でないだろうか。そのために一部の非首都圏地域の高校平準化解除問題を検討する必要もある。人口減少と二極化時代に教育問題を解決するための政策的な悩みが50年の高校平準化政策の限界を克服し、むしろより良い継承をもたらさなければならない。

パク・デグォン/韓国学中央研究員/韓国学大学院教授

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