大阪・関西万博で屈指の人気を集めたイタリア館の名品が再び披露される特別展「天空のアトラス イタリア館の至宝」が25日、大阪市立美術館(大阪市天王寺区)で始まった。同展は、オンラインチケット(日時指定予約)が発売からわずか2日で売り切れる異例の事態となり、現在は、販売が休止されている。同館館長は「当日券の販売など今後の対応を検討中」とし、観覧希望者に対して同館のHPをこまめに確認するよう呼び掛けている。


大阪市立美術館

 今回の展覧会では、万博で連日長蛇の列を生んだ、古代ギリシャの天球儀を担ぐ大理石像「ファルネーゼのアトラス」(2世紀、ナポリ国立考古博物館)を公開。万博で日本初公開された貴重な美術品で、「本物の芸術品を見せてくれた」と話題をさらった。

 同展では万博の時と同じように、広い空間の中央に像を配置、背景でドラマチックな映像が展開する。アトラスのリアルな筋肉の造形や表情、支え持つ天球儀に描かれた星座など、多様な見どころを全方位から観察できる。天球儀に関しては、大阪市立科学館(大阪市北区)の専門家による新たな解説もつけた。


「ファルネーゼのアトラス」(西暦2世紀、ナポリ国立考古博物館)


「ファルネーゼのアトラス」(西暦2世紀、ナポリ国立考古博物館)=後ろ姿   本展はすべての作品を撮影できる(フラッシュは禁止)

 またレオナルド・ダ・ヴィンチの手稿「アトランティコ手稿」(15世紀後半、アンブロジアーナ図書館[ミラノ])は万博時の作品とは異なる2点=いずれも日本初公開=を展示。当時の水にまつわる科学的装置の絵で、大阪が「水の都」であることから関係者が選定したという。

 ラファエロの師、ピエトロ・ヴァンヌッチ(通称ペルジーノ)の宗教画「正義の旗―聖フランチェスコ、シエナの聖ベルナルディーノ、祈る正義兄弟会の会員たちのいる聖母子と天使」(1496年、ウンブリア国立美術館[ペルージャ])は、万博の時よりも大きな空間でゆったりと陳列。同じ部屋では、安土桃山時代から江戸時代初めに活躍したキリシタン、伊藤マンショの肖像画を基に復元された衣装の紹介も。会期半ばからは、衣装の基となったティントレット「伊藤マンショの肖像」(1585年)の複製画も来館する予定だ。


レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)『アトランティコ手稿』第1112紙葉 表《巻き上げ機と油圧ポンプ》1478年頃 アンブロジアーナ図書館(ミラノ)


ピエトロ・ヴァンヌッチ(通称ペルジーノ)「正義の旗―聖フランチェスコ、シエナの聖ベルナルディーノ、祈る正義兄弟会の会員たちのいる聖母子と天使」1496年 ウンブリア国立美術館(ペルージャ)

次のページへ12次へ

WACOCA: People, Life, Style.