イギリスのスターマー首相(写真:homas Krych/ZUMA Press Wire/共同通信イメージズ)

第二次大戦以来の英米「特別関係」に曲がり角

[ロンドン発]英保守党下院議員が対中政策を議論していた「中国研究グループ」事務局長ら2人が中国側に英国の国益を害する情報を流していたとして公務機密法違反罪に問われた事件で、本格公判入りする前に起訴が取り下げられた。英国の中国へのすり寄りが浮き彫りになった。

「米国第一」を唱えるドナルド・トランプ米大統領の復活で、第二次大戦以来続く英米「特別関係」も大きな曲がり角を迎えている。英国は米国、欧州連合(EU)、インドと貿易協定を結び、中国との距離を再び縮めようとしている。気候変動対策は中国の協力なしには進まない。

 中国研究グループはトム・トゥーゲンハット前英安全保障相が主宰していた保守党内対中強硬派下院議員の勉強会で、2020年には河野太郎防衛相(当時)がオンラインで講演。トゥーゲンハット氏は「ファイブアイズを(日本を含めた)シックスアイズに変える考え」を歓迎した。

 ファイブアイズは米英などアングロサクソン系5カ国の電子スパイ同盟。河野氏は「日本も近づいて『シックスアイズ』と言われるようになってもいい」とファイブアイズとの連携拡大に意欲を示した。

 中国研究グループはスパイにとって対中強硬政策の動きを追うにはもってこいの場だった。

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