グティエレス一郎です。
クラウドファンディングを通して「核のない世界へ 広島メキシコ友好壁画」を支えてくださった全ての支援者の皆様へ、心からの御礼を申し上げます。皆様の揺るぎないご支援があったからこそ、この壮大な壁画は現実のものとなりました。
去る10月15日、多くのメディアの注目が集まる中、完成披露式典を大成功のうちに執り行うことができました。メルバ・プリーア駐日メキシコ大使、広島県副知事、在広島メキシコ名誉領事・菖蒲田清孝様、昨年ノーベル平和賞を受賞した日本被団協の箕牧代表委員をはじめ、多くの方々にご臨席いただき、この壁画が持つ意義の大きさを改めて実感いたしました。

この壁画の最大のハイライトとして、核廃絶への功績が評価され両国でノーベル平和賞を受賞した、メキシコ人外交官アルフォンソ・ガルシア・ロブレス氏、および日本被団協を代表して、結成時の中心人物であり、長年にわたり被爆者支援と核兵器廃絶を訴え続けた森滝市郎さんと山口仙二さんが描かれていることです。また、空港正面では「原爆の子の像」のモデル、佐々木禎子さんの肖像が旅行客を迎えます。
ご臨席した被爆者の田中稔子さんからは「この壁画は広島の宝」、日本被団協の箕牧代表委員からは、「被爆者がいなくなった後もこの壁画は生き続ける、核のない世界を訴え続ける」と大変光栄なお言葉をいただきました。壁画で描いている森滝市郎さんのご遺族の森滝春子さんおよび山口仙二さんのご遺族からも喜んでもらい高く評価していただきました。皆様と共にこの歴史的な事業を成し遂げられたことに、深い感動を覚えています。

皆様のおかげで実現したこの壁画が、核のない世界を願うメッセージを永続的に発信し続けるよう、みんなでその意味を伝えていくよう、呼びかけをしたいと思います!
※後日、壁画に描かれた内容の詳細の解説を皆様にも送りますね!!
両方の壁面の写真を平面にした壁画 by Carlos Alberto GH
【式典スピーチのハイライト】
■主催者によるオープニング挨拶:グティエレス一郎

壁画を制作する場を提供して下さった広島空港の中村康浩社長をはじめ、ご支援・ご協力によりプロジェクトの実現を可能にしたクラウドファンディング支援者の皆様 、協賛企業の皆様、広島グアナフアト親善協会、メキシコ大使館、広島県にお礼を申し上げました。また、核廃絶の先駆者であるアルフォンソ・ガルシア・ロブレス外交官を広島の地に描けたことは、メキシコ人、そしてラテンアメリカ全体にとって大きな誇りだと言いました。さらに、壁画は、被爆者の意志を継承するという未来への誓いであり、世界中の旅行客や次世代にとって、(日本被団協結成時の中心人物であった)山口仙二さんと森滝市郎さんをはじめ、歴史を学ぶ場になると信じていると申し上げました。
■メルバ・プリーア・メキシコ大使によるご挨拶

広島と長崎の原爆投下から80年の節目に、核兵器のない未来を築く決意を新たにし、この壁画がメキシコと日本の友情、平和と核兵器廃絶への共通の思いを映し出すと述べました。メキシコは「トラテロルコ条約」で知られるロブレス氏の遺産を受け継ぎ、非核外交を長年リードしてきたと強調しました。人間の安全保障は核の威嚇の上には成り立たないという信念を日本とメキシコで共有していると言いました。
■山根健嗣・広島県副知事による、湯崎県知事のメッセージの代読

湯﨑広島県知事のご挨拶を代読しました:
「メキシコは、1967 年の世界初の非核兵器地帯条約となったラテンアメリカ・カリブ地域のトラテロルコ条約の制定や、2017 年の核兵器禁止条約の国連での採択に大きな役割を果たすなど、本県は、その志に深く共感しており、終戦・被爆 80年となる今年、広島の玄関口である広島空港から、核のない世界をテーマとするこの壁画を通じて、平和のメッセージを発信できることは、大きな意義があると考えています。。。広島空港を多くの方が訪れておりますが、この壁画の前で足を止め、核兵器のない平和な世界の実現に向け、心を寄せていただけることを願っています。」
■菖蒲田清孝・在広島メキシコ名誉領事によるご挨拶

「私は、在広島メキシコ合衆国名誉領事として、また広島グアナファト親善協会会長として、両地域の絆がこうして芸術という形で結実したことを、心から誇りに思います。この壁画が架け橋となり、メキシコと広島の友好関係がさらに発展し、世界に平和の希望を届けていけることを願っています。」という嬉しい言葉を頂きました。
■ア-ティスト・Adry del Rocioによるご挨拶

被爆者の方から「命への愛情」を学んだと言い、心を込めて制作したと強調しました。また、壁画の制作過程において、第1フェーズが、「情報収集とデザイン」、第2フェーズが、「壁画を描く過程」、そして、これから皆さん全員で「壁画のメッセージを伝える」という第3フェーズが始まると訴えました。
※後日、壁画の解説を皆様にも送りますね!
■日本被団協御牧智之代表委員によるご挨拶

「『核は人類を共存できない』という森滝先生の言葉、そして国連で声高らかに発言された『ノーモアヒロシマ・ノーモアナガサキ・ノーモアヒバクシャ』の山口先生の壁画は、私たち被爆者が一人もいなくなった時代を迎えても永遠に広島空港の宝として心に残ると信じております」と大変ありがたい言葉をいただきました。
■広島県被団協佐久間邦彦理事長によるご挨拶

「壁画が完成し、核なき世界をめざしての私たちの運動と壁画に描かれた方々の亡き被爆者の願いが実現するようによびかける声が今にも聞こえてきそうです」、と言っていただき、アーティスト姉弟、および私ども企画者が「原爆のこと、被爆者のことをよく理解」していると評価していただきました。また、「私たちは日本政府に(核兵器禁止条約を)批准するように積極的に働きかけていきます」と付け加えました。
■ピースボート/ICAN代表: 川崎哲によるご挨拶

ガルシア・ロブレス氏の功績とラテンアメリカの事例に触れ、キューバ・ミサイル危機への対応としての地域の核兵器禁止条約(トラテロルコ条約)制定の意義を強調しました。その事例から学び、現在も危機の時代であるからこそ、平和構築の必要性を力強く訴え、見事に式典を締めくくりました。
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