ロシアがウクライナ各地にドローンとミサイルで大規模な攻撃を再び仕掛けた。トランプ米大統領による最新の和平努力に冷や水を浴びせた格好になる。

  22日未明に行われたこの攻撃で子供2人を含む民間人が少なくとも6人死亡し、17人が負傷したと、ウクライナのゼレンスキー大統領がXに投稿した。

  ゼレンスキー氏によると、キーウ、オデーサ、ドニプロなど10の地域が攻撃を受けた。主に標的とされたのはエネルギーインフラだが、多くの住宅も被害を受けたという。 

  「ロシアの指導部が重大な問題を感じない限り、外交に関するロシアの言葉は何の意味も持たない」とゼレンスキー氏は述べ、ロシアに対する制裁強化とウクライナへの長距離兵器の提供こそ、戦争終結に近づく道だと強調した。

  ドナウ川に面した港湾都市イズマイルも攻撃を受けたと、現地当局者がテレグラムで明らかにした。キーウ、オデーサ州などで事業展開するウクライナ最大の民間エネルギー企業DTEKは、家庭向けの緊急停電を実施。同社はオデ-サ州の施設が深刻な打撃を受け、復旧には時間を要すると説明した。

  ウクライナ国鉄はフェイスブックで、攻撃のため複数の鉄道路線が変更され、列車が遅延していると発表した。  

  冬を前に、ロシアはウクライナのエネルギーインフラに対する攻撃を強化。ウクライナは暖房に欠かせないガス生産の半分以上が停止を余儀なくされている。 

  ロシアの攻撃激化により、北部のチェルニヒウと北東部のスムイでは数日間にわたり水道と電気の供給が停止している。 

Russia’s attacks on civilians have long become the signature of a terrorist entity masquerading as a country. Ukraine has already agreed to the U.S. proposal for a ceasefire. Moscow, however, is doing everything possible to keep the killing going.

This means that collective… pic.twitter.com/i4wTE015wj

— Andriy Yermak (@AndriyYermak) October 22, 2025

  ウクライナの送電網や交通網、ガス生産施設に対する10月の攻撃は、ロシアによる全面侵攻開始以降、月間として最も激しい一つだと、ウクライナエネルギー省は見積もっている。

  この日の攻撃は、トランプ氏とロシアのプーチン大統領による2回目の首脳会談の実現が不透明となる中で発生した。両者は先週電話会談し、その後トランプ氏はブダペストで2週間以内に直接会談する意向を示したものの、21日にはプーチン氏と「無駄な会談」はしたくないと述べた。

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  ゼレンスキー氏は防空システムを含む軍事支援を要請するため、22日にストックホルムを訪問する。さらに、欧州連合(EU)は23日にブリュッセルで首脳会合を開催し、対ロシア追加制裁と、ロシア中銀の凍結資産を活用したウクライナへの財政支援を協議する。24日にはウクライナを支援する「有志連合」の会合も予定されている。

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原題:Russia Hits Ukraine as Trump’s Latest Peace Efforts Falter (1)(抜粋)

— 取材協力 Maxim Edwards

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