韓国のスターバックスが、デスクトップパソコンやプリンターなどを店舗に持ち込まないよう利用者に呼びかけている。カフェで長時間勉強や仕事をする「カゴンジョク」と呼ばれる人々が、まるで自分のオフィスかのように店内の座席を占拠。迷惑行為として問題視されており、韓国スタバは明確な禁止ルールの導入に踏み切った――。


スターバックスコーヒーショップ

写真=iStock.com/Wachiwit

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「ホームオフィスはホームに置いてきて」

韓国のスターバックス全店舗で今年8月、新たなルールが導入された。デスクトップコンピューターやプリンター、電源用の延長コード、大型パーティションなどの使用を禁止する内容だ。


店内に登場した注意書きには、柔らかな印象のイラストが添えられている。あくまで穏やかなトーンでの呼びかけとしているが、これまで同チェーンを含む韓国のカフェ店内では、まるで自宅やオフィスのように我が物顔で座席を占拠する事例が発生。こうした一部の客に対し、迷惑行為だとして批判が集中していた。


今回スターバックスが店舗に新設した呼びかけの掲示物はこのほか、複数人用のテーブルを1人で占拠しないことや、長時間席を離れる際は荷物で席を確保しないことなどを求めている。


この一件を、韓国最大の英字紙であるコリア・ヘラルド紙などが報道。同紙は「ホームオフィスはホームに置いてきて」とのコミカルな見出しで取りあげた。




問題になっていた「カフェ勉強族」

同紙によると、今回の措置は韓国で近年良くも悪くも話題となっている「カゴンジョク(cagongjok)」と呼ばれる人々が主な対象だという。


これは韓国語で「カフェ」と「勉強する部族」を組み合わせた造語で、何時間も店内に居座り、仕事や勉強用の作業スペースとしている人々を指す。


もっとも、大半の客は社会的な良識の範囲内でカフェでの作業に当たっており、ノートパソコンだけを持ち込み短時間だけ作業している。しかし、韓国スターバックスによれば、中には大型モニターやプリンター、さらにはキュービクル風の仕切りまで持ち込む客も現れていた。


韓国・中央日報は、ソウルから南東に約270キロメートル離れた安東(アンドン)で目撃された事例を写真入りで紹介。この客はパソコンだけでなくプリンターを持ち込んでいたという。


テーブルの下に隠すようにしてプリンターを設置し、店内のコンセントから電源を拝借。複数人掛けの大きなテーブルの一角に陣取ると、ノートPCの角度を調整できるスタンドとキーボードまで設置し、完全に自分のオフィスと化していた。


このほか、もはや自分の席に留まらず、プリンターを隣の椅子に置いて余分に座席を占領する客もいるなど、一部のカゴンジョクのマナーの悪さに非難が集中していた。


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