台湾ヤゲオ、芝浦電子TOBが成立 26年1─3月期までに非公開化

 10月20日、台湾の電子部品メーカー、ヤゲオは、芝浦電子に対する株式公開買い付け(TOB)で応募比率が87.33%となり、買い付け予定の下限である50.01%を大幅に超えてTOBが成立したと正式に発表した。写真は6月6日、高雄市で撮影(2025年 ロイター/Wen-Yee Lee)

[東京 21日 ロイター] – 台湾の電子部品メーカー、ヤゲオ(2327.TW), opens new tabは20日、芝浦電子(6957.T), opens new tabに対する株式公開買い付け(TOB)が成立したと正式に発表した。2026年1─3月期までに非公開化手続きを完了することを目指す。両社は21日都内で共同会見を開き、ヤゲオの創業者ピエール・チェン会長は買収の必要性を強調。また、地域面など相互補完性もあるとし「黄金の90日間にいろいろな仕組みを構築したい」と述べた。TOBへの応募比率は87.33%で、買い付け予定の下限である50.01%を大幅に超えた。ヤゲオは今月3日に関東財務局に提出した届出書で、買い付け予定の下限を上回る応募があったと明らかにし、TOB期間を20日まで延長していた もっと見る 。買い付け代金は約1086億円と見込んだ。

ヤゲオは買収成立の発表文で「グローバル戦略において重要なマイルストーンであり、日本市場への揺るぎないコミットメントと長期的な投資姿勢」を示しているとコメント。チェン会長は会見で、世界の大手企業のニーズに応えるには「製品・技術・サービスが整っていることが必要」と買収の目的を説明した。

ヤゲオは1977年の創業以来、20件以上のM&Aを実施して事業拡大を図ってきており、日本企業を買収するのは2社目となる。今後、日本企業に対する買収の可能性についてはチェン会長は「日本には単一の技術などに頼っている良い企業がある。世界の市場に届けることが良いなら話をしていく」と述べた。

ヤゲオは2月に芝浦電子に対し同意なき買収を提案し、5月からTOBを開始。9月には日本政府から外為法(外国為替及び外国貿易法)上の承認を得ていた もっと見る 。一方、ホワイトナイト(友好的な買収者)として4月にTOBを開始していたミネベアミツミ(6479.T), opens new tabは、ヤゲオと買収価格に差もあり、9月に買収が不成立に終わった もっと見る 。芝浦電子は当初、ヤゲオの買収に反対していたが、9月16日に企業価値の向上に資するとして賛同を表明し、株主に応募を推奨すると取締役会全会一致で決議した もっと見る 。

共に会見した芝浦電子の葛西晃社長は、ヤゲオによるTOBについて「当初、背景や目的に関する情報が十分ではなく、進め方に大きな違和感を持っていた」といい、企業価値の向上は大きく見込めないと判断していたという。その後、面談や工場の訪問などを行うことで理解が深まっていったと明かし、「短期的な利益の追求ではなく、長期的な企業価値の向上に資するもの」と評価した。

日本政府による外為法上の審査について、チェン会長は「審査の過程で特別だったり他と違うことはなかった。政府としては、前向きだったと思う。特に長かったとは感じていない」と述べ、国のやり方を尊重しているとした。

清水律子、石黒里絵 編集:田中志保

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