若者の間で広がる言葉「これじゃない感」が数年前、国語辞典の新語大賞に入選した。全否定するほどではないが、期待していたものとは微妙に違う。違和感と残念な気持ちがもやもやと残る―。そんな心境を指すらしい▲日本維新の会がきのう自民党との連立に合意した。「これじゃない感」が募るのは維新が連立の絶対条件に掲げた国会議員数の削減だ。金看板である「身を切る改革」なのは確か。だが、それを「一丁目一番地」(吉村洋文代表)の優先課題だと主張されると首をかしげてしまう▲維新が声高に訴えていた企業・団体献金の禁止は事実上先送りし、裏金事件の解明も曖昧に。これでは「政治とカネ」の透明化を求める民意に応えたと胸は張れまい▲そもそも人口比の国会議員数は主要国で最少レベルだ。互いが歩み寄れる「改革」に飛びついただけではないか。選挙制度そのものでなく、定数だけを問題視するのも違和感が拭えない▲「安易な連立で身売りすると、維新は恐らくなくなる」。藤田文武共同代表が就任会見で語ってから3カ月。危惧が現実になるとすれば、有権者の期待とのずれが限りなく広がった時だろう。令和維新の行方はいかに。

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