ゴビ砂漠の地平線の上に、小さな太陽のように強烈に輝くものが、敦煌(とんこう)の郊外にある世界遺産・莫高窟(ばっこうくつ)へ走るバスの車窓から、蜃気楼(しんきろう)のように見えた。
太陽光そして水力、風力、地熱などのクリーンエネルギーの開発は、中国の習近平政権が掲げる看板政策のひとつである。その現場を中国の駐大阪総領事館の招待で今年9月に中国西部の青海省と甘粛省で視察した。青海省は黄河、長江、メコン河の三つの巨大河川の源流域であり「中華水塔」と呼ばれる。
三つの河川の流域人口が合計7億人を超えるので青海省では環境保全が最優先とされクリーンエネルギーの開発が急がれている。
青海省は面積が中国の省・自治区で4番目に広い約72万平方キロメートルで、日本全土の約1.9倍である。しかしチベット高原の北東部に位置し、最高地点が6178メートルで最低地点が1650メートルと標高差が大きく水力発電に適している。実際、全長5464キロメートルの黄河は青海省内で3135メートルの落差があり、総設備容量が2493.3万キロワットに達する38基の水力発電所が計画されている。
筆者が訪問した黄河公司は、羊曲─青…
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週刊エコノミスト
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