トランプ米大統領は7日、通商協議のためにワシントンを訪問しているカナダのカーニー首相との会談に先立ち、関税を巡る交渉でカナダを公正に扱うと述べた。同日撮影(2025年 ロイター/Evelyn Hockstein)
[ワシントン 7日 ロイター] – トランプ米大統領は7日、通商協議のためにワシントンを訪問しているカナダのカーニー首相との会談に先立ち、関税を巡る交渉でカナダを公正に扱うと述べた。
トランプ氏は大統領執務室で記者団に対し「米国は各国を公正に扱う。特にカナダを公正に扱う」とし、「カナダは満足するだろう」と述べた。同時に、米国は貿易で損をさせられているとの不満を改めて示し、一部のカナダ産品に対する関税措置を引き続き進めていく考えを示した。
その後、カナダのルブラン対米貿易担当相は、トランプ氏との会談は成功し、前向きかつ実質的なもので進展があったとしながらも、ディール(取引)は近くないと明言。記者団に対し、「今朝起きた時にはなかった勢いが今はあると思うので、私は満足している」と述べた。
早ければ7日夜にも当局者同士が再び会談する可能性があるとしている。
カーニー氏は当初、米国との個別の貿易・安全保障協定を推進することで関税に対応したが、協議が行き詰まるにつれ、2026年に予定されている米国・カナダ・メキシコの自由貿易協定の見直しに焦点を当てた。
トランプ氏は「再交渉することもできるし、それはいいことだろう。もしくは単に別の協定にする可能性もある。それぞれの国にとってより良いディールになるかもしれない」と述べた。
自身の好みを聞かれると、「気にしない。この国にとって最良のディールであれば何でもしたいし、カナダも大いに念頭に置いている」と答えた。
トランプ氏はまた、カナダと次世代ミサイル防衛システム「ゴールデン・ドーム」で協力することで合意したと表明。これに対しカーニー首相は「(カナダと米国は)競合する分野もあり、そうした分野では合意をまとめなくてはならない。一方、共にあることで強くなれる分野も多い。われわれはそうした分野に注力している」と述べた。
カーニー氏がトランプ氏を変革的な大統領と呼び、トランプ氏の業績を列挙していた際には、トランプ氏がそれを遮り、「カナダと米国の合併」とジョークを飛ばし、記者たちの笑いを誘う場面もあった。カーニー氏も笑いながら「私が言いたかったのはそこではない」と応じた。
カーニー氏は3月に首相に就任。カナダの輸出の75%は米国向けとなっているため、カナダ経済は米国の通商政策の影響を受けやすい。トランプ政権の鉄鋼や自動車などに対する関税措置でカナダ経済はすでに打撃を受けており、対応を求める圧力が国内で高まる中、今回のワシントン訪問は過去5カ月で2回目となる。
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