2025年10月19日 午後0時00分

福井県福井市の中心市街地

福井県といえば、村や町の古いしきたりを重視する保守的な考え方を持っている人が多い。他の人の意見も聞くと、福井駅前に行けば、辺りは恐竜のモニュメントばかりで恐竜しかないと言う人もいる。県民である僕でも、そう思ってしまうことが多い。

僕は福井は恐竜だけが地域アイデンティティとは思わない。一乗谷朝倉氏遺跡や、丸岡城など歴史スポットなど誇れる物が沢山ある。

僕は、友達と進路の話をよくする。友達は「高校を卒業したら、県外の大学に行って大学卒業後は県外の会社で働く」「福井では経験出来無いものを経験したいから」という考えを持っていた。

僕は都会の喧騒があまり好きではないから、静かな福井県の大学に行きたいが、僕の友達のような考えを持ってる人はいるだろう。県外に行くっていう考え方をする人が増えたことにより県民の人口流出率が高まっている。これは福井県が保守的であるから魅力を感じないから、福井県から出たいのではなく、娯楽が少ないから出ようとしているのでもない。

SNSのように秒単位で新しい情報が動画として流れ、またスクロールすると先とは違う新しい情報が出てきてと次から次へと刺激が脳に伝わってゆく。SNSで見た情報で東京や大阪の街並みや都会の人のファッション、娯楽の数に憧れて、それを理由に大学に行くとは親や教師には言えないが本心ではきっとそう思っている。

福井の身近な刺激に気づかない県民

福井県民には緑豊かな自然の恵みや地域独自の祭礼文化や伝統文化と長い歴史から色んな刺激を身近に受けている。その刺激に慣れてしまった若者は、新たな刺激を得るために県外に行く。

僕は県外に行っても福井県に携わり、遠くにいても福井の歴史や文化、風土などに魅力を感じれるように、外部で福井に携われる制度が必要だと思う。

僕は現代版参勤交代を制度化することをオススメする。

江戸時代の参勤交代は地方の大名のお金を減らすために行われていたと言われているが、現代版参勤交代は逆の意味で都会に住んでいる人や地方に住んでる人が持つ知識を福井県に還元する事で、双方が豊かになるいう仕組みである。

江戸幕府の参勤交代はオランダのエキゾチックな文化や清のような東洋文化に触発されて、新しい文化が生まれる。このような参勤交代により、人々は既存観念を打ち壊し新たな価値観をつくり、社会にイノベーションをもたらす。このような性質を持つ参勤交代は今の時代にも適しているのではないか?

現代版 参勤交代

福井県に長く住んでいて今は都会で働いていて18~35歳の若手~中堅社会人を対象とした制度で、都会の暮らしで得た先進的な知見とアイディアをインターンシップ形式に福井で還元する制度である。

福井県内の企業や自治体で都会で得た経験を活用させ地域課題の解決を目指す。地元の若者と都会から来た福井県出身の人が協力して、都会から来た人のマーケティングスキルを活用して福井の観光地や伝統文化体験イベント企画を立案・実施させる。

派遣した後も、オンライン、オフラインの文化を見て刺激を貰う。派遣後も福井の地域課題解決プロジェクトに参加し、キャリアを拡げる。

例えば、大野の名水である御清水をフォトスポット化するプロジェクトに都会から来た人が積極的に参加しアイディア提供する。このプロジェクトで得た成果の一部が都会から来た人に還元され、片方に損が起きないようになっている。この派遣を通して、福井県の魅力を再発見し移住するキッカケを持った人を増やすものになると思う。

双方向の循環が福井を良くする

この制度の魅力は双方向性で、都会から福井に来た人は地域の自然や歴史、文化に刺激を受ける。また、福井県に居る若者も県外で働く人の話を聞くことで新しい刺激を県に出なくても知ることが出来る。

この循環により、地域社会に変革が起き福井県の魅力を再発見するキッカケを生み出す。都会から福井への移住や地元での挑戦を考える人を増やす効果に繋がる。交通費を県が全額負担し、活動手当の支給をすることで、安心して地域課題解決に取り組める。

既に交通費半額支給制度は、定住交流課が実際に行われているがどのように資金を使っているのか、用途が不透明である。この不透明さを改善し、どのように活用されているのかを知る体制が必須である。

制度の魅力と郷土愛

また、福井は好きだけど県外に少し行きたい人は福井県に居なくても外部で携われる環境を創出する。現代版参勤交代制度の魅力は、安心・実利・郷土愛の3つにまとめられる。

交通費や宿泊費、活動手当が支給される経済的な安心と、都会で学んだ知識を地域で実践する経験という実利と、地域への愛着や帰属意識が強化される郷土愛が高まる。この制度は、参加者にとってのメリットと地域活性化を同時に生み出す、双方向型の仕組みである。

情報鎖国の必要性

江戸時代の鎖国は、海外との接触を制限しつつ、長崎出島を通じてオランダや清から選択的に情報を取り入れた「情報フィルター」だった。現代の若者はSNSによる“開国状態”にあり、一日に数百もの情報に触れる。だがその大半は一過性で、地域や人生に深く結びつかない。だからこそ今こそ、江戸の「情報鎖国」の知恵が必要だと思う。

現代版参勤交代は、都会で得た知識や刺激を“無制限に”持ち込むのではなく、福井の文化や歴史、地域課題に役立つように「濾過」して還元する仕組みである。つまり、情報の洪水の中から価値ある部分を選び取って地域に活かす、現代的な情報鎖国なのである

この現代版参勤交代で、福井県に移住し福井で働きたいという人が増えるかどうかは未知数だが、僕はこの制度で福井に居続ける人も福井を離れたけれど関わり続けたい人の為にも、福井を愛する人が未来を創る場所になると良いなと思う。

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【ゆるパブコラム】一般社団法人ゆるパブリック(略称:ゆるパブ、2015年福井に設立)の発信の場として始まったコラムコーナー。福井の若者や学生、公務員、起業家、経営者、研究者などあらゆる立場の人が、さまざまな視点から福井のまちの「パブリック」に迫ります。

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