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EFE

掲載日

2025年10月17日

メゾン マルジェラの現クリエイティブ・ディレクター、ベルギー人デザイナーのグレン・マーテンスが、カール・ラガーフェルド、オリヴィエ・ルスタン、ステラ・マッカートニー、川久保玲、ヴェルサーチェらに続き、スウェーデンのH&Mとのカプセルコレクションに名を連ねる。

H&M、グレン・マーテンスとのコラボレーションを10月30日にローンチH&M、グレン・マーテンスとのコラボレーションを10月30日にローンチ – H&M

マーテンスとH&Mのウィメンズ・デザインディレクター、アン=ソフィー・ヨハンソンは、このコレクションを若々しくフレッシュで、「機知に富み、楽しい」と表現。バッグ、ジャケット、ブーツを複数のバリエーションで提示し、既成の枠をひねり、かたちを変えて新たなデザインへと昇華させている様子からも、それは明らかだ。

「小さなアートピースであり、構造が変化するコンバーチブルなアイテムです」――メタリックのディテールと隠しワイヤーにより、強調したい(あるいは隠したい)部位を自在に操れると、グレン・マーテンスはオンライン会見で説明。狙いは明快で、「オフィスからクラブまで。昼は木こり、夜はまったく別の人になれる」と強調する。

このコレクションは10月30日に発売される。H&Mは、デザイナーとしてのマーテンスの軌跡と、故ヨアン・セルファティが創設したフランスのブランド、Y/Projectでの仕事にオマージュを捧げる。彼は同ブランドで12年にわたり、きわめて個人的かつ折衷的なプロジェクトを展開してきた。

その経験を生かし、このカプセルでは、ゆったりとして官能的なTシャツドレスのための“見えないストラップ”を再び採用。「かなりコケティッシュで、望むだけセクシーになれるコレクションです」とデザイナーは補足する。

英国ファッションに目を向けるという発想は、ステレオタイプなスタイルのクリシェの内側にとどまりながら、同時にそれを打ち破ることを目指したものだ。

その視点から、架空の家族――英国の国王と王妃――のためのワードローブを制作。79歳の女優ジョアンナ・ラムリー(『ウルフ・オブ・ウォールストリート』『Amandaland』)と、68歳の俳優リチャード・E・グラント(『説得』『The Lesson』)がそれぞれを演じている。

「チャールズ国王とカミラを起用することはできませんでした。ご都合が合わなかったので」とマーテンスは皮肉を込めて語り、同時に、目指したのは手の届く価格で、ハイランド風の趣やプレッピーなタッチを備えたピース。「人をハッピーにし、強く、エンパワーされたと感じさせ、なりたい自分を映し出せる服」を掲げる。

キャンペーンは「楽しくて、とてもクレイジー」。挑発的なビジュアルが満載だと、デザイナーは語る。たとえば、脚の付け根まで届くブーツは、折り返して丈を短くできる。

クリエイターは、トレンチコートやキルティングジャケット、タータンといったクラシックなワードローブを提案。H&Mのベーシックを起点に、それらを再解釈している。

デニムは主役素材のひとつで、使い込んだようなプリーツやシワを、あくまで自然な方法で表現。「一般的なウォッシュ工程で生じるのと同じようにね」。そして「本当に素晴らしかった!」と付け加える。

マーテンスにとって、このカプセルの要は間違いなくバッグ。「昔からアクセサリーが好きなんです。アクセサリーはブランドを体現できるから」と語る。

今回のコラボレーションで、ブランドは彼に自由裁量を与えた。H&M側は、紙の上ではよく見える案と、ブランドにとって真にふさわしい選択肢を見極められたと説明する。

「要はバランスの問題でした」とアン=ソフィー・ヨハンソン。今回の取り組みの目的は、ブランドの価値観にフィットする人物を見つけることだったという。「私たちが手がけてきた中でも、最もクリエイティブなコラボレーションのひとつです」とも述べる。

マーテンスにとっては「エキサイティング」な仕事であり、自身の歩みに捧げるラブレターでもある。過去の時期を想起させるデザインも含まれるが、「もう二度とやらないだろう」と締めくくった。

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