インド政府科学技術庁(DST)は9月16日、DST傘下のAryabhatta Research Institute of Observational Sciences(ARIES)の科学者らが6000を超える散開星団のデータを用いて天の川銀河の星間塵を詳細にマッピングしたと発表した。

ESAのGaia初期データリリース3(EDR3)によって作成された、銀河経度・銀河緯度(l-b)平面上での天の川の観測画像と、本研究で使用した6215個の散開星団(黄色の点)のサンプルを並べて示したもの。ほとんどの星団は銀河面(b = 0°)付近に位置している。
(出典:PIB)

天の川銀河は星間塵とガスの巨大な雲で満たされている。それらによって星からの光を遮る「消光」と呼ばれる現象が発生する。ARIESの科学者らがマッピングした散開星団は銀河円盤付近に集中して存在しているため、消光の影響を受けやすいため、星間塵の分布を追跡する上で有効な指標とされる。研究チームは欧州宇宙機関(ESA)のGaia衛星データを活用し、銀河円盤全体における塵の分布を描き出した。

研究を主導したY・C・ジョシ(Y. C. Joshi)博士によると、塵は均一に分布せず、波打つような薄い層を形成し、銀河中心面の下方に位置しているという。この「赤化面」と呼ばれる層は、方向によって上下に揺れ動くように分布し、銀河経度41度方向に最も多く、221度付近では少ないことが分かった。また、太陽はこの層の約50光年上方に存在している。

さらに、塵層の厚さは場所によって変化し、特に銀河中心方向では密度が高いことが確認された。この成果により、銀河の構造の複雑さや動的性質が明らかになり、恒星形成の領域をより正確に特定できるようになった。塵の多くが新しい星が形成される帯状領域に集中していることも示された。

本研究は今後、より遠方領域の観測によって3次元的な銀河像の構築に発展することが期待されている。Gaiaの次期データリリースやヴェラ・C・ルービン観測所の時空間レガシーサーベイ(LSST)などの国際的な観測プロジェクトが重要な役割を担う見通しだ。

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サイエンスポータルアジアパシフィック編集部

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